情報調査部

フジサンケイ広報フォーラム

広報セミナー(開催レポート)

事件報道と企業取材

日 時: 2015年6月15日(月)15:00〜17:00
会 場: 日本記者クラブ・宴会場
講 師: 産経新聞編集局社会部警視庁キャップ 荒井敬介氏

フジサンケイ広報フォーラム6月の月例会は、産経新聞編集局社会部警視庁キャップの荒井敬介氏を講師にお招きし、企業事件などの不祥事に際して、事件記者である警視庁の記者クラブ所属の記者はどのような取材を行うかについてお話しいただきました。

講演要旨


警視庁には、産経新聞が所属する「警視庁記者クラブ」、「七社会」、「警視庁ニュース記者会」の3つのクラブがあります。警視庁記者クラブの構成は、産経のほか、NHK、時事、ニッポン放送、文化放送、MXTVです。七社会には現在、朝日、読売、毎日、日経、東京、共同の6社が加盟。発足当時は、休刊した時事新報を含めて七社だったため、そのままの名称で今日に至っています。なお、警視庁ニュース記者会には、在京の民放各社が加盟しています。

記者クラブの各社には、7-10人ぐらいの記者が詰めており、1課、2課、警備公安など警視庁の担当部門ごとに記者を配置されています。各担当記者達はチームを組み、リーダーは「仕切り」、その下の記者は序列によって、2番機、3番機と呼ばれます。この機は、戦時中の飛行隊の名残です。基地に帰還する順番で、3番機はいちばん最後に帰るという意味もあって、若手新人記者が務めます。

事件記者の使命は、特ダネを取ること。警察は、事件発生の日と犯人逮捕の日しか公式発表をしません。だから、記者は日夜取材に走り回ることになるのです。各クラブの14社の「仕切り」記者が毎夜情報を求めて、捜査一課長の自宅に行きます。1社あたり10分としても2時間ほどかかりますから一課長も激務です。それもあって、各社が新任の一課長を記事で紹介する慣例になったのです。

企業がらみの事件捜査では、企業側が積極的に情報開示に努め、真摯な態度をとり続けることが大事です。捜査陣、記者側ともに企業がどう責任を取るのかを注視しているからです。膨大な数の個人情報の漏えい事件では、漏えい件数を過少に公表したばかりか、事実関係の説明をせず1日に2度の会見を求められたケースもあります。元記者が広報室長を務めていたにもかかわらず、記者達が捜査情報を得た上で会見に臨んでいるという基本を理解していなかったようです。

企業不祥事では、被害者の立場に立つか加害者としてお詫びするかで警察側の対応も変わってきます。自社ビルの回転ドアで児童がなくなった事件では、そのトップが警察の事情聴取で事故は確率としては少ないほうなどと話し、捜査陣が激怒したことがあります。警察はトップの逮捕を目指しましたが、企業側がすばやく遺族と示談交渉を成立させたこともあり、担当役員の逮捕・起訴で終わってしまいました。

死亡事故が発生すると、警察は業務上過失致死事件として経営トップの責任を問う捜査方針をとります。湯沸かし器の死亡事故では、トップが業務上過失致死傷罪で在宅起訴され、裁判で有罪が確定しました。この事件でも、自社に過失はないという最初の姿勢が世論の反感を買い、厳正な処分が下ったともいえます。反対にある遊園地での死亡事故で、トップが会見で詫びるとともに無期限での営業停止を公表。警察側もこれを好意的に捉え、迅速な捜査が行われ、世論からのバッシングも最小限にとどめることができました。

最近、企業へのサイバー攻撃が目につきます。年金機構や東商からの情報漏えいでは、対応が後手に回り、厳しい世論にさらされました。この手の話は、セキュリティー会社から漏れることが多くて、分かった段階で積極的な公表が望まれます。これが遅れると、隠ぺいととられるからです。サイバー攻撃は、日本という国を狙ったもので、重要情報が盗まれている可能性が高いといわれています。企業も攻撃を受けることを想定して対応方針を決めておくとよいでしょう。

テーマ/講師
  • 事件報道と企業取材
  • 産経新聞編集局社会部警視庁キャップ 荒井敬介氏
日 時 2015年6月15日(月)
15:00〜17:00(講演)
会 場 日本記者クラブ 宴会場 map
(千代田区内幸町2-2-1 日本プレスセンタービル9F)
Tel.03−3503−2721

月例会とは

会員制情報サービス組織「フジサンケイ広報フォーラム」が毎月開催する「勉強会」です。広報担当者にすぐに役立つ情報提供を目的にしたものです。勉強会のテーマは、事件・事故、特殊ジャーナリズム、内部告発などへの対応といった危機管理やIRなど。時には企業見学会なども実施します。
月例会には、会員各社から何名でもご参加いただけます。また、テーマによっては関連部門(宣伝部や法務部など)の方のご参加も可能です。
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