情報調査部

フジサンケイ広報フォーラム

広報セミナー(開催レポート)

事例研究
—クライシス時の対応と事後処理対応

日 時: 2014年9月29日(月)15:00〜17:00
会 場: 日本記者クラブ・宴会場
講 師: マルハニチロ株式会社 専務取締役 押久保 直樹 氏

フジサンケイ広報フォーラム9月の月例会は、マルハニチロ株式会社専務取締役の押久保直樹氏(写真)を講師にお招きしました。押久保氏は昨年発生した、子会社のアクリフーズの農薬混入事件で現場の対応指揮に当たって来られました。事件発覚までの社内の認識やマスコミ対応、さらには第三者委員会を立ち上げるに至った経緯などについてお話しいただきました。当日は、広報担当者のほかリスク管理担当の方々が参加し、会場は満席となりました。

講演要旨


マルハニチロ株式会社 専務取締役 押久保直樹氏マルハニチロ株式会社 専務取締役 押久保直樹氏

この講演をお引き受けしたのは、お詫びと我々の取り組みを説明したいと考えたからです。本日の話が、皆さんの参考になれば幸いです。2007年に中国製の冷凍餃子に毒物が混ざっていた事件がありました。奇しくもその年にマルハニチロは経営統合して誕生しました。今年の3月まで、純粋持株会社の下に、それぞれマルハとニチロを母体とする事業会社がぶら下がる形の経営体制でした。この体制が、事件対応への遅れの遠因だったともいえます。

事件当時、品質保証体制が各事業会社に分散化されていて、顧客対応もアクリフーズが直接行うのではなく、親会社がその業務を受託していました。そのため、責任が曖昧になり、対応のフローも工場現場と顧客対応現場で行ったり来たりしたため、問題の発覚が遅れたのです。2013年の11月に「シンナー臭い」という最初の苦情があった際にも、すぐに検査を行うべきでしたが、誰がどう決断するかが曖昧で、対応が後手に回ったのです。

その後もクレームが続き、12月に臭気検査を行いました。ここで本来入っていない成分が検出され、農薬混入の可能性を否定するために外部に検査依頼をしました。27日になって、農薬混入(残留農薬の量ではない)が判明、殺虫剤の一種であるマラチオンが検出されました。しかし、この情報はすぐに経営層へは伝わりませんでした。現場がマラチオンの毒性が低いと評価したことと、商品の特定ができなかったからです。マルハニチロホールディングスが商品の全品回収を決断したのは、2日後の12月29日でした。

記者会見は、29日の17時に行いましたが、ここでも毒性に関して誤った公表をしてしまいました。翌30日に外部からその誤りを指摘されたのですが、すぐにアクションを取らず、厚労省からの指摘で、31日の深夜1時半に訂正の会見をしました。新聞の締め切り時間を狙ったと顰蹙を買いましたが、そのような計算が働く余裕などなく、結果としてこの時間での会見となってしまったのです。

第三者検証委員会での調査過程で、以前から異物混入のクレームが多数あったことが判明しました。現場の声や不満を聞く体制が十分ではなかったとの指摘を受けました。アクリフーズの群馬工場が元雪印の工場で、多くのスタッフも雪印当時の従業員だったことから、食品トラブルが会社の消滅につながるという意識もあって、苦情に対する対応の遅れがあったことも類推されました。

今回の事件で、改めてリスク管理は経営の根幹をなすものだと思いました。組織やシステム整備など様々な手当ては行いました。しかし一番重要なのは、職員とのコミュニケーションや日常の配慮だと考えています。お客様、業界、行政などからもフィードバックをいただき、わが社の原点である「食を通じて社会に貢献すること」に立ち返り、お客様からの信頼の回復に向けて、全力で取り組んでまいります。

テーマ/講師
  • 「事例研究—クライシス時の対応と事後処理対応」
  • マルハニチロ株式会社 専務取締役 押久保直樹氏
日 時 2014年9月29日(月)15:00〜17:00
会 場 日本記者クラブ 宴会場 map
(千代田区内幸町2-2-1 日本プレスセンタービル9F)
Tel.03−3503−2721

月例会とは

会員制情報サービス組織「フジサンケイ広報フォーラム」が毎月開催する「勉強会」です。広報担当者にすぐに役立つ情報提供を目的にしたものです。勉強会のテーマは、事件・事故、特殊ジャーナリズム、内部告発などへの対応といった危機管理やIRなど。時には企業見学会なども実施します。
月例会には、会員各社から何名でもご参加いただけます。また、テーマによっては関連部門(宣伝部や法務部など)の方のご参加も可能です。
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