情報調査部

フジサンケイ広報フォーラム

広報セミナー(開催レポート)

経営者の器とは

カリスマ経営者と権力必腐の構図
日 時: 2014年3月19日(水)15:00〜17:00
会 場: 日本記者クラブ 9F−宴会場
講 師: ジャーナリスト、元日本経済新聞特別編集委員兼論説委員 森 一夫 氏

3月月例会は、元日本経済新聞社特別編集委員兼論説委員でジャーナリストの森一夫氏を講師に迎え、個性ある企業経営者の素顔やカリスマ経営者が裸の王様になってしまう企業風土の問題点などについてお話しいただきました。

講演要旨


ジャーナリスト、元日本経済新聞特別編集委員兼論説委員 森一夫氏 ジャーナリスト、元日本経済新聞特別編集委員兼論説委員 森一夫氏

さまざまな経営者に取材をしていますが、ユニークな経営者、変わったトップがいる企業は、際立った業績を残していることが多いです。リクルートの江副浩正氏、京セラの稲盛和夫氏、日本電産の永守重信氏などはその代表格なのではないかと思います。

多士済々のリクルートを一代で築き上げた江副浩正氏とは、バブル期前夜の1984年に、日経ビジネスの取材で初めてお会いしました。どんな辣腕の経営者かと思っていましたが、とても暗い顔の疲れ切った人物というのが最初の印象でした。本人曰く、自分にはカリスマ性も強力なリーダーシップもないので、若い人にどんどん権限を委譲したという。この「社員皆経営者主義」が、リクルートの成長の源泉になったのだと思います。

稲盛和夫氏は、いま中国でも大人気で著作が100万部以上売れています。利他の考えの持ち主で、経営には「正しい生き方」が必須と説いています。根はシャイで素顔の稲盛氏は人をグイグイと引っ張るタイプには見えないが、夢を語ることで、周囲をのせてしまう。高収益の源泉は、自身が考案したアメーバ経営という少集団ごとに行われる管理会計の手法です。これにより個々人のやる気を引き出し、優れたリーダーを生むという好循環を実現しているのです。

永守重信氏は、IQの高い人で、努力のカリスマともいえます。稲盛氏が天然とすれば、永守氏の行動やもの言いは、計算しつくされたものです。落ちこぼれのような人物を採用し、怒鳴り、しかりつけ徹底的に鍛えあげるのですが、実は相手のやる気を引き出すような緻密なやり方をしています。1日16時間、元日を除いて毎日働くという、大変なハードワーカーで、このモウレツぶりと相手の能力に合わせた適材適所の人材配置が成長の源泉となっているのだと思います。

創業経営者や中興の祖ともいえる経営者の中には、カリスマ性とたぐいまれな人心掌握術にたけた人物も多いです。そうした経営者が社内でいつしか、神格化してしまい、誰も異論を述べられない組織になってしまうことも多くみられます。これは、そのトップだけが悪いのではなく、組織の風土にも問題があるのではないかと思います。

トーヨーサッシの創業者、潮田健次郎氏は「企業は経営者の器以上には大きくならない」と述べています。まさしく、企業の浮沈はリーダーにかかっているわけですが、名経営者といわれた人ほど謙虚で自分を飾らないことが多いです。自分に対して絶対的な自信があるからなのでしょうね。

名経営者で、威張らない人の代表格は、日本興業銀行の中山素平氏です。財界の鞍馬天狗と呼ばれ、自行のみならず日本経済界のさまざまな問題解決に活躍しました。若い記者相手でも丁寧な言葉づかいで、インタビューに応じた方でした。財界活動では、中山さんが国際大学の寄付金集めなどで、頭を下げて企業を回るとたちどころに集金ができてしまうといわれていました。

飾らない人の代表格は、ソニーの井深大氏と盛田昭夫氏です。 特に井深さんは、自分の興味のあることにどんどん突き進む人でした。問題解決に当たっては、盟友の盛田氏はむろんのこと、若い社員とも同じ土俵で議論しています。自分の権威や感情で議論をしないから、自由闊達なアイデア交換ができたのだと思います。

最後に、企業広報について触れます。広報の対応で、その企業の体質が見えてきます。トップへの取材の申し込みをしても、まったくなしのつぶての企業などは、社長との意思疎通ができていないことをうかがわせます。記事にした事実に対して、クレームを言ってくるなど、経営者を慮っての行為は、内向きな風土を感じさせますね。反対に自社を客観的に見る率直な広報マンに出会うと、その企業の印象もよくなることが多いのです。

——以下、参考用に今回の月例会の御案内を掲載しています——

平素は、エフシージー総合研究所の活動に格別のお引き立てを賜り誠にありがとうございます。厚くお礼申し上げます。

さて、フジサンケイ広報フォーラム3月・月例会は、「取材したくなる企業、トップは、ここが違う」をテーマに、ジャーナリストで元日本経済新聞記者の森一夫氏に企業の情報発信と取材対応についてお話しいただきます。

森氏は、これまで産業部を皮切りに日経ビジネス副編集長や論説副主幹兼産業部編集委員、特別編集委員兼論説委員などを歴任、昨年3月、特別編集委員を最後に退職されました。

40年に及ぶ取材経験を通じて実感した「記者が取材したくなる企業、トップ」について、実例を交えてご講演いただきます。日頃の広報活動のヒントとなるお話がうかがえると思いますのでスケジュール調整のうえ、ご参加くださいますようご案内申し上げます。

テーマ/講師
  • 「取材したくなる企業、トップは、ここが違う」
  • ジャーナリスト、元日本経済新聞特別編集委員兼論説委員 森一夫氏
日 時 2014年3月19日(水)
15:00〜17:00
会 場 日本記者クラブ 宴会場 map
(千代田区内幸町2-2-1 日本プレスセンタービル9F)
Tel.03−3503−2721

月例会とは

会員制情報サービス組織「フジサンケイ広報フォーラム」が毎月開催する「勉強会」です。広報担当者にすぐに役立つ情報提供を目的にしたものです。勉強会のテーマは、事件・事故、特殊ジャーナリズム、内部告発などへの対応といった危機管理やIRなど。時には企業見学会なども実施します。
月例会には、会員各社から何名でもご参加いただけます。また、テーマによっては関連部門(宣伝部や法務部など)の方のご参加も可能です。
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