情報調査部

フジサンケイ広報フォーラム

広報セミナー(開催レポート)

東京五輪は、明るい未来を約束するか

招致合戦の裏側と日本の課題
日 時: 2013年10月25日(金)15:00〜17:00
会 場: 日本記者クラブ 9F−宴会場
講 師: 産経新聞論説委員長 樫山 幸男 氏
産経新聞編集局運動部長 蔭山 実 氏

10月月例会は、産経新聞論説委員長の樫山幸夫氏と産経新聞運動部長の蔭山実氏を講師に迎え、2020年東京五輪開催決定までの道のりと今後の課題について講演をしていただきました。五輪開催の話をベースに、海外経験豊富な二人の講師が国内外の動きについて解説しました。

講演要旨


蔭山実 産経新聞運動部長 蔭山実 産経新聞運動部長

蔭山実 産経新聞運動部長 講演


2020年の五輪開催地に東京が選ばれたことは、多くの人にとって想定外だったかもしれません。事前の調査でも、財政力、安全性などの面で東京が優位にありましたが、国民的な盛り上がりがかけていたのも事実です。6都市の候補地が一次選考の結果、東京、マドリード、イスタンブールの3都市での招致合戦となりました。次期開催地のソチ(2014年冬季)、リオデジャネイロ(2016年夏季)が安全性や確実性で不安視する声もあり、その点を踏まえて東京が選ばれたとも考えられます。

2005年にロンドンが史上初の3度目の開催地(2012年夏季五輪)に選ばれ、成熟した都市であっても再度開催地になりうることがわかりました。そこで、東京も2016年、2020年のオリンピック開催を目指す運動を開始したのです。2016年招致の際は、福岡も立候補し、国内の調整に手間取った結果、落選しました。今回は、自民党政権のバックアップのもと、東京一本に絞り、足並みをそろえて臨んだことが勝利につながったと考えられます。

五輪の開催地は、IOCの総会で各国・地域の委員約100人の投票で決定します。投票基準が不明なため、委員が自分の家族の意見に左右されるとか、自国が得意とする種目にとってのメリットで選ぶといった説もあるほどです。今回の勝因はいろいろ言われていますが、最終のプレゼンでの高円宮妃久子さまの存在が勝利に大きく貢献したことは間違いないと思います。

開催までわずか7年です。しかし、開催決定から2ヶ月近く経っても、組織委員会のトップも決定していません。ロンドン五輪をみならって、選手による選手のための大会運営をスピード感をもって実施して欲しいと思います。


樫山幸夫 産経新聞論説委員長 樫山幸夫 産経新聞論説委員長

樫山幸夫 産経新聞論説委員長 講演


私の講演では、五輪開催と日本の将来について俯瞰したいと思います。実は、2回目の東京五輪開催については複雑な思いがあります。1964年の東京オリンピックがあまりに感動的で輝いた存在なので、それを失くしたくないからです。しかしオリンピックは、少年少女たちに夢を与えるものです。日本の明るい未来を約束するものであって欲しいと願っています。

今回の東京五輪決定に際しては、安倍晋三首相が大きな役割を果たしました。首相就任後、11回の外遊で25カ国を訪問、土日もほとんど休まず、政権運営にまい進する中での五輪誘致でした。非公式な場では、ちょっと疲れてはいると本音をもらしましたが、体調には充分気をつける必要がありそうです。

社会保障費への支出のために、消費税の増税が決定。政府は1%の増税で2兆円の増収が見込まれると説いています。軽減税率を導入すれば真水はほとんどなくなるし、増税は景気の足を引っ張りかねない。また、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)参加では、農産物の自由化という課題が残っています。増税と農家を敵に回す施策は、政権の寿命を縮めかねません。いまは、安倍政権にとっての正念場ともいえます。

海外に目を転ずると、中国の台頭が著しい。米国家安全保障会議のレポートでは、2020年代に中国は経済規模で米国を抜くと述べています。中国には、米・中で太平洋を二分する構想があります。日本は、米国を一方的に頼るのではなく、独自の防衛・外交政策を打ち立て、確固たる地位を築くべきと考えます。

そのために、安倍政権は戦後以来の難題である憲法改正に取り組んでいます。しかし隠れた国家的危機でもある少子高齢化にも直面しているのです。どの国も経験していない問題であって、日本の人口は東京五輪後の2025年から減少に転じます。どうやって子供を増やすのか、移民受け入れを本格的に検討するのか、日本に残された時間は少ないのです。

——以下、参考用に今回の月例会の御案内を掲載しています——

フジサンケイ広報フォーラム10月・月例会は、「2020東京五輪決定 招致までの道のりと7年後の課題」をテーマに、産経新聞論説委員長の樫山幸夫氏と運動部長の蔭山実氏のお2人を講師に迎えて開催します。

2020年の夏季五輪の開催地に東京が選ばれました。2016年の開催地にリオデジャネイロが選ばれ、東京が落選した時の教訓を生かした今回の招致活動は、日本固有の弱点を克服し、イスタンブールとマドリードを相手に圧勝しました。

現地でのロビー活動から、最後のプレゼンテーションまでの舞台裏。そして7年後の開催までに日本はどう変わっていくのか、ビジネスの視点なども含めてお2人の講師から解説いただきます。

関係部門の方にも声をかけていただき、ご参加くださいますよう、ご案内申し上げます。

テーマ/講師
  • 「オリンピックで日本はどう変わるか」
  • 産経新聞論説委員長 樫山 幸男 氏
テーマ/講師
  • 「2012年 東京五輪決定までの道のり」
  • 産経新聞編集局運動部長 蔭山 実 氏
日 時 2013年10月25日(金)15:00〜17:00
会 場 日本記者クラブ 宴会場 map
(千代田区内幸町2-2-1 日本プレスセンタービル9F)
Tel.03−3503−2721

月例会とは

会員制情報サービス組織「フジサンケイ広報フォーラム」が毎月開催する「勉強会」です。広報担当者にすぐに役立つ情報提供を目的にしたものです。勉強会のテーマは、事件・事故、特殊ジャーナリズム、内部告発などへの対応といった危機管理やIRなど。時には企業見学会なども実施します。
月例会には、会員各社から何名でもご参加いただけます。また、テーマによっては関連部門(宣伝部や法務部など)の方のご参加も可能です。
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