情報調査部

フジサンケイ広報フォーラム

広報セミナー(開催レポート)

統計学が現代最強の学問である理由

勘と経験に頼らない仕事の思考方法
日 時: 2013年9月20日(金)15:00〜17:00
会 場: 日本記者クラブ 9F−宴会場
講 師: 統計家 西内 啓 氏

フジサンケイ広報フォーラム9月の月例会はベストセラー「統計学は最強の学問である」の著者で統計家の西内啓(にしうち・ひろむ)氏を講師に迎え、いま、統計学が産業界を中心に注目されている理由とその考え方についてやさしく解説いただきました。

講演要旨

西内啓氏 西内啓氏

東大医学部卒の経歴をみて、私が医師であると思われる方も多いようです。実は、統計学がやりたくて、医学部に入りました。病気をなくすには、その原因を突き止めねばなりません。患者や症状などのデータ収集と分析によって、病気のリスク要因を明らかにするわけです。ここで、統計学が大いに役立つのです。誰もが知っている生活習慣病は、1960年代まで認識されていませんでした。それが、統計学的な分析で、ウィルスや病原体のみが病気の原因ではなく、生活習慣でも病気になることが立証されたのです。

また、統計学によって、日本人の死亡原因の一位が癌であることが明らかになりました。生物医学では癌は無くならないと考えられていますが、統計学的なアプローチで、癌の要因を減らせないかと考えています。癌の主な原因は、「喫煙」、「塩分のとりすぎ」、「がん検診を受けないこと」の三つが挙げられます。そのうちの「がん検診」については、大多数の国民が受ける仕組みや、啓蒙の方法を考えることで、検診率を上げ、癌を防ぐことにつながらないかと考えています。そのためには、統計学や人間の行動科学の知識は欠かせないわけです。

原因の原因を突き詰めていくときのツールが統計学なのです。医療だけではなくビジネスや生活のさまざまな分野で活用できます。たとえば、利益を上げる要因として、「消費者の行動を変えるマーケティング」をいじる、「営業の成約率をあげるプログラム」を変える、「事業コスト」を低減させる、の3つを想定した場合にどれが利益に直結するものなのかを明らかにするのが、統計学の手法なのです。「長年の経験に基づくと…」とか「私の感覚では…」といった主観的な根拠で間違った意思決定を避けるための学問でもあるのです。

巨大ECサイト、アマゾンは、「この本を買った人は、こういう本も買っています」というリコメンド・エンジンで有名です。品揃え、利便性、価格、プロモーションなどの点でも他社より優位に立っています。無論、日本の巨大スーパーも品揃え、価格などでは引けをとらないのですが、アマゾンのように、マーケティング、オペーレーションなどすべての業務の局面で綿密な統計学的データ分析を行い、最適解を出し続けている企業はないと思います。

統計学にとって大事なのは、データの集計ではなく、分析なのです。すなわち、「望ましいもの」と「望ましくないもの」を比較し、それらの違いを探ることなのです。「望ましさ」を具体的に数値化し、比べる単位を定義し、さらにその望ましさを左右しうる要因(説明変数)を徹底的に考えることがポイントです。その上で、説明変数をどう分析し、対応するかが、ビジネスの成否をわけることになると考えています。

——以下、参考用に今回の月例会の御案内を掲載しています——

フジサンケイ広報フォーラムの9月・月例会は、あの統計学ブームの火付け役、西内啓氏を講師にお招きします。

ビックデータは「宝の山」といわれ、さまざまな産業、業界で巨大データ群の活用が注目を浴びています。他方で、膨大なデータから最適解を導き出す統計知識を持った人材の育成が急務となっています。

講師の西内氏は、28万部を突破した「統計学が最強の学問」(ダイヤモンド社)をはじめ、統計学が日常の生活やビジネスの現場でいかに役立つかを解りやすく解説されています。講演では、数学的な知識がなくとも理解できる、統計学の考え方やビジネスでの活かしかたなどを解説していただきます。

いま、さまざまな企業から引っ張りだこの西内氏の講演です。スケジュール調整のうえ、関係部署にもお声をかけていただき、ご参加くださいますようご案内申し上げます。

テーマ 「なぜ統計学が注目されるのか」
講 師 統計家 西内 啓 氏
日 時 2013年9月20日(金)15:00〜17:00
会 場 日本記者クラブ 宴会場 map
(千代田区内幸町2-2-1 日本プレスセンタービル9F)
Tel.03−3503−2721

月例会とは

会員制情報サービス組織「フジサンケイ広報フォーラム」が毎月開催する「勉強会」です。広報担当者にすぐに役立つ情報提供を目的にしたものです。勉強会のテーマは、事件・事故、特殊ジャーナリズム、内部告発などへの対応といった危機管理やIRなど。時には企業見学会なども実施します。
月例会には、会員各社から何名でもご参加いただけます。また、テーマによっては関連部門(宣伝部や法務部など)の方のご参加も可能です。
「フジサンケイ広報フォーラム」についての説明はこちら