情報調査部

フジサンケイ広報フォーラム

広報セミナー(開催レポート)

企業スキャンダルと調査報道

「FACTA」発行人が語るジャーナリズムの原点
日 時: 2013年8月28日(水)15:00〜17:00(月例会)/17:00〜18:00(懇親会)
会 場: 日本記者クラブ 9F−宴会場(月例会)/小会議室(懇親会)
講 師: FACTA発行人兼編集主幹 阿部 重夫 氏

8月月例会は、創刊から7年目を迎えた調査報道誌「FACTA」発行人兼編集主幹の阿部重夫(あべ・しげお)氏を講師に迎え、調査報道の目的とそこに求められる企業の広報姿勢について講演をしていただきました。当日は懇親会も開催し、多くの参加者が講師の阿部氏と取材対応などについて意見交換を行いました。

講演要旨

阿部重夫氏 阿部重夫氏

調査報道(investigative reporting)とは、行政や司法など公の機関が気づいていない問題を暴き、世に問うものであり、ジャーナリズムの本旨ともいえます。調査には、膨大な労力や法的リスクが伴うこともあって、「FACTA」創刊前の日本では、本格的な取り組みは見られませんでした。

私のジャーナリスト人生は、日本経済新聞社の社会部記者からスタートしました。当時は、田中角栄金脈問題で日本中が大揺れし、私もその取材に当たることになり、調査報道に触れることになりました。1987から88年頃にかけて見られた異常な土地の高騰についての取材が調査報道に深く関わる原点になったと思います。当時、土地の値上がりの理由が日経社内においてもわからず、登記簿をあさって権利関係から地上げの本尊とその理由を探ったものです。都心の再開発やゴルフ場の建設などの地上げでは、アンダーグラウンドにいる人々が暗躍しました。今でも、豪華なゴルフ場の名誉会員・特別会員には地元の名士や金融機関のトップ層に混じって、素性の知れない人々の名前もみられます。ゴルフ場は、エスタブリッシュメント層とダークサイドにある人々との接点の場とも言えるかもしれませんね(笑)。

日経の欧州総局に勤務していた時代に、データの読み取り方など欧米の調査報道のやり方を学ぶ機会を得ました。大量破壊兵器の存在が疑われていた当時のイラクに潜入取材を敢行し、いち早くその存在の有無を探り出そうとしたこともありました。常時、秘密警察に監視を受け、金目当ての兵士が平然と殺人を犯す中で、文字通り、決死の覚悟で取材を行いましたが、その真相はわかりませんでした。しかし、このときの経験が、日本において、専門の調査報道機関を作る必要性を強く抱くきっかけとなりました。

2006年に「FACTA」を創刊しました。調査報道が主体のため、広告収入も当てに出来ず、圧力がかかるのを嫌って銀行からの借り入れもしない中での船出でした。金儲けや名誉には無縁の調査報道なのですが、日本の社会には必要だと考える複数のスポンサーの賛同を得ることが出来ました。上場益も高配当も期待しないでほしいという、こちらの勝手な条件をよくのんでくれたと感謝しております(笑)。

われわれの取材が目指すところは、健全な資本主義社会や企業組織の実現です。取材対象の個人をおとしめるような、いわば下半身に対する暴露取材は行っていません。個人ではなく、組織全体に関わる問題を取り上げることが、フェアな社会を作ることにつながると考えているからです。最近では、内部告発者からの情報提供もありますが、その動機を含めて慎重にチェックし取材に当たっており、これまで謝罪広告を出したことはありません。

「FACTA」は、「オリンパス事件」の端緒を開いたように、利害関係者ひいては一般市民がフェアな経済行為が出来るよう企業に透明性を求めてきましたが、新たな提案(キャンペーン)も行っています。今年は、アベノミクスに「第四の矢」の提言をするつもりで、12月4日にゲアハルト・シュレーダー、ドイツ前首相を招聘(しょうへい)しフォーラムの開催を予定しています。ぜひ期待してください。

——以下、参考用に今回の月例会の御案内を掲載しています——

フジサンケイ広報フォーラムの8月・月例会は、総合情報誌FACTA発行人兼編集主幹の阿部重夫氏を講師にお招きし、企業のスキャンダルとそれを暴くジャーナリズムの本旨である調査報道をテーマにお話をいただきます。

2006年に創刊したFACTAは、大手マスコミが報じていない経済界のスキャンダルや政界の裏事情などをいち早く提供し、政財界をはじめ、さまざまな分野のリーダーから高い評価を得ています。

阿部氏には、FACTA創刊の経緯、オリンパス事件に最初に光を当てた同誌の調査報道についての考え方、さらには政治・経済の懸念事項などについてお話いただく予定です。

月例会終了後には恒例の暑気払いを兼ねた懇親会を開催します。スケジュール調整のうえ、関係部署にもお声をかけていただき、ご参加くださいますようご案内申し上げます。

テーマ/講師
  • 「企業スキャンダルと調査報道」
  • FACTA発行人兼編集主幹 阿部 重夫 氏
日 時 2013年8月28日(水)15:00〜17:00(月例会)/17:00〜18:00(懇親会)
会 場 日本記者クラブ 宴会場(月例会)/小会議室(懇親会) map
(千代田区内幸町2-2-1 日本プレスセンタービル9F)
Tel.03−3503−2721

月例会とは

会員制情報サービス組織「フジサンケイ広報フォーラム」が毎月開催する「勉強会」です。広報担当者にすぐに役立つ情報提供を目的にしたものです。勉強会のテーマは、事件・事故、特殊ジャーナリズム、内部告発などへの対応といった危機管理やIRなど。時には企業見学会なども実施します。
月例会には、会員各社から何名でもご参加いただけます。また、テーマによっては関連部門(宣伝部や法務部など)の方のご参加も可能です。
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