フジテレビ商品研究所

商品研究レポート

鏡に付着する水垢落としグッズ



鏡に付着する水垢落としグッズ


お風呂の鏡や蛇口についた白いウロコのような頑固な『水垢落とし』に特化した商品がいろいろと販売されています。これらの商品は頑固な汚れを落とす反面、素材表面を傷つけないか心配です。表面が傷ついてしまうと、傷のへこみに水垢がつき、さらに落としにくくなってしまいます。『水をつけてこするだけ』をうたった水垢落としグッズについて、「汚れ落ち」と「傷つきにくさ」の性能試験と使い勝手試験を行い、評価しました。



評価品

評価した「水垢落とし」商品(A〜H)と、対照品として比較した台所用スポンジ(Ⅰ)の仕様一覧を表1に示します。台所用スポンジは調理器具の焦げ落とし用として販売されている研磨剤がついたナイロン不織布です。

表1 評価品一覧

商品は、スポンジタイプ(A〜D)、シートタイプ(E〜G)、消しゴムタイプ(H)の3タイプに分けられ、対照品のIもスポンジタイプになります。それぞれの研磨面は、A:人工ダイヤモンド粒子 B:酸化セリウム研磨材 C:研磨シート貼り合わせ D:アルミナ研磨材で、シートタイプではE:ポリエステル・パルプシート、FはEのシートに研磨剤と界面活性剤が入ったもので、G:極細ステンレス繊維シートです。消しゴムタイプのHはダイヤモンド粒子です。 すべてのグッズが鏡の水垢落としを用途としていますが、E、F、G、Hでは蛇口やシンクなどの金属面にも対応しています。


研磨面の観察

評価する研磨面をマイクロスコープ(120倍)で観察しました。

表2 研磨面の120倍マイクロスコープ画像

AとHは微細な研磨粒子が敷き詰められ、BとDは網目状になっているのが確認できます。Cの研磨面は研磨剤が密な個所とそうでない個所が混在し、独特な紋様となっていました。E、Fは太さと素材が違う繊維(ポリエステルとパルプ)が絡み合っていて、F、Iは繊維に研磨剤が付着しているのが見えました。GはE、F、Iよりも細い極細繊維が密集して不織布を形成しているのが見て分かります。



試験方法

Ⅰ. 性能試験

(1)汚れ落ちテスト
高硬度ミネラルウォーターに石鹸と炭酸カルシウムを混ぜて調製した水溶液を、すりガラスに1日1回霧吹きで吹きかけて自然乾燥させるという工程を2週間繰り返し、水垢汚れモデルを作製しました(写真1)。

写真1 水垢モデルの作製


ガラス表面を流水でぬらしてから評価品で水垢をすべて落とすように30秒間擦った(写真2)後、流水を20秒間洗浄し、室内で24時間乾燥後に汚れ落ちの具合を目視で評価しました。なお、結果にバラつきがないように、洗浄にかかわる操作はすべて同じ研究員1名で行いました。

写真2 試験風景


(2)傷つきにくさテスト
鏡とステンレス板それぞれに0.5mlの水をつけ、評価品で10往復擦り表面をマイクロスコープで観察し、評価しました。


写真2 試験風景


Ⅱ. 使い勝手試験

Ⅰ.性能試験の『汚れ落ちテスト』の洗浄工程終了時に、「持ちやすさ」「力の入れやすさ」「動かしやすさ」について、テストした研究員が5段階で評価しました。その際、具体的な使用感についての聞き取りも行いました。

試験結果

汚れ落ちと傷つきにくさの結果を表3にまとめます。

表3 性能評価試験結果

汚れ落ちのテストでは、G、Iが完全に汚れを落とし、次にE、Fと続き、C、H → D → A、B(汚れがかなり残った)の順番でした。 Gは高密度のステンレス極細繊維が水垢の汚れ落としによく適したと考えられます。Iは本来の用途ではありませんでしたが、調理器具の焦げ付きを落とすほどの研磨剤と固くて太いナイロン繊維の不織布による効果だと思われます。
研磨剤・クレンジング成分が入っているFは、それらが入っていないEと同等の汚れ落ち性能でしたがどちらも良好な結果でした。
鏡への傷つきにくさはA、B、C、E、F、Gが全く傷つかず、Hはわずかに傷つき、D、Iは肉眼でも見えるほどの傷がつきました。Hの研磨剤に使用されている人工ダイヤモンドやDのアルミナの硬度は一般的にガラスよりも高いため、傷つきの原因になったと思われます。なお、Aも人工ダイヤモンドが使用されていますがHに比べて粒径が小さいことと研磨面に一層のみの接着であるということから傷つきが無かったと考えられます。また、本体のウレタンスポンジが力を分散させたためだとも推測できます。
ステンレス板ではC、E、F、Gは全く傷つかず、次いで傷が目立たない順でB → A、H → D → I(かなり傷ついた)でした。
A、B、D、は本来の用途ではない素材へ使用したための結果ですが、同用途のCでは全く傷つけませんでした。
E、F、Gは金属面にも使用できるという表示通りの性能が確認できました。

次に使い勝手試験の結果を表4にまとめます。

表4 使い勝手試験結果

柄がついているHはかなり持ちやすく、使い勝手では最も高評価となりました。B、Cのような特殊な形状は持ちやすい反面、濡れた状態では表面張力のためかなり動かしにくくスムーズに擦ることができませんでした。
シート状のE、F、Gは特に使いやすく感じることはありませんでしたが、目立った問題もありませんでした。鏡以外にも使用できるという表記通り、蛇口などの複雑な形状な個所でも折りたたんで隅々まで接触面が届くので、しっかりと掃除ができると実感できそうです。




まとめ

表5に評価品の仕様、性能試験および使い勝手試験結果のすべてを一覧表に示します。

表5 評価品の仕様と結果一覧

汚れを落とし、素材も傷つけなかったGが、最も優れている結果となりました。Gの材質はステンレスですが、極細状の繊維が起毛した不織布のように柔らかな肌触りが、汚れ落ちと傷つけにくさを両立した要因と思われます。汚れ落ちはGには及びませんでしたが、E、Fも素材を傷つける可能性は低くおすすめです。これらシートタイプのものは使い勝手に特化しているわけではありませんが、特に使いにくくもありません。
スポンジタイプではCが素材を傷つけない結果となりました。持ちやすい形状でしたが、動かしにくく力も入れにくかったため汚れ落ちの効果は今ひとつだったと思われます。A、Bは汚れ落ちの効果は低く、本来の用途外であるステンレスへは傷をつける可能性があり、Dにおいては鏡にも傷をつけてしまうため注意が必要です。
消しゴムタイプのHは柄があるため、使い勝手は最も高い評価となりましたが、力を入れやすいために必要以上な力が加わり素材を傷つけたと考えられます。
Iは、やはり本来の用途外には使用できませんでした。
E、F、Gは鏡よりも硬度が低い金属面にも使用できるため、素材へのダメージは鏡専用のタイプよりもゆるやかです。鏡でも金属面でも付着する水垢汚れの成分は同じです。選ぶ際は、金属面にも使用できるものがよいでしょう。

(2015.07.17 生活科学研究室)

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