フジテレビ商品研究所

商品研究レポート

フック付き吸盤の耐荷重性能

掃除機で吸いこんだPM2.5は掃除機内を通過し排出しないか?

 フック付き吸盤は釘や接着剤が使えないキッチンやお風呂まわりでちょっとしたものを掛けるための便利グッズです。吸盤は吸着面を汚さない、取り外しが簡単なことが利点です。
 吸盤のパッケージには耐荷重制限の表記がありますが、実際にはどれくらいの重さに耐えられるか調べてみました。



試験方法

 試験品を取り付ける吸着面は、お風呂場やレンジの壁などに使われているタイル(写真1)、家電品の外装やレンジフードを想定したカラー鋼板(写真2)で実施しました。

写真1:タイル/写真2:カラー鋼板

 耐荷重試験には、一定の荷重をかけて、どれくらいの期間フックが持ちこたえるかを調べる持久性の試験と、荷重を徐々に増やしてどの時点で落下するかを調べる最大瞬発荷重試験の2つが考えられますが、今回は最大瞬発荷重を測定しました。
 それぞれの吸着面に試験品を吸着させ、引張試験機((株)島津製作所/EZ-L(5kN))に取り付けます。試験品のフックに引張試験機のフックを掛けて100mm/minの速度で負荷をかけ、試験品が外れたり、動いたりした時点の荷重を測定しました(写真3、4)。測定は5回行い、最大値と最小値を省いた3回の平均値を算出しました。

写真3:引張試験機/写真4:試験品のセット

直径が大きく、素材では塩化ビニル樹脂のものを選ぶとよい

表1:試験に用いたフック付き吸盤の仕様と測定結果

 全ての試験品で、表記している耐荷重以上の数値が出ました。
 吸盤直径がΦ58の①⑤⑨で比べてみると、⑤の塩化ビニル樹脂製のものが高い耐荷重性能を示しました。他の素材のものは負荷をかけると下方に滑りながら外れてしまいましたが、塩化ビニル樹脂はベタつく質感があるためか滑りにくく、負荷が大きくなるにしたがって形状が大きく変形し、いきなり外れるという挙動を示しました。⑨の密着ジェルが加工された商品は、ジェルのためか滑りが大きく、下方に滑ってから外れてしまいました。ただ、この密着ジェルは吸盤内への空気の侵入を防ぐためなので既定(表示されている荷重)内の負荷であれば、長期的に保持することができると思われます。

 同じ塩化ビニル樹脂で吸盤の直径が違う③Φ66、⑤Φ58、⑥Φ55、⑧Φ52について、カラー鋼板面で比べると、直径の大きい③>⑤>⑥>⑧の順に③が一番、耐荷重性能が優れているという結果となりました。吸盤はカップ状の本体を平滑面に押し当て空気を押し出し、真空に近い状態にすることで生まれる大気圧との差を利用してくっつきます。そのため、表面積が大きい、すなわち吸盤が大きいほど強い耐荷重性能が期待出来ます。吸盤内に空気が残っている場合は、熱などで空気が膨張したりして外れ易くなってしまうため、空気が入らないように取り付けることが大切です。ざらざらしている面や汚れている面では、いったん取り付けられても徐々に空気が入ってしまい、すぐに外れてしまいます。必ず吸着面はツルツルした平滑面で汚れはきれいに拭き取るようにしましょう。

 次に、材質も直径も同じ⑥⑦⑩で比較してみます。タイル、カラー鋼板といった推奨使用面において最も耐荷重性能が高かったものはプッシュ式の⑦でした。この商品は中央のボタンを押し、空気を抜きながら取り付けるため、吸盤内は真空に近い状態となります。赤いラインが見えなくなるまでボタンを押しこむという使い方ですので、誰が取り付けても高い耐荷重性が期待できます(写真5、6)。さらに赤いラインが見えてきたら、再度ボタンを押しこみ付け直しができる特長もあります。吸着面には目に見えない微細な傷や汚れやゆがみ、吸盤の縁の細かい傷などから空気が入って、吸盤がすこしずつ浮いてきてやがて外れてしまいますので、この特長は重宝します。

写真5:⑦(未使用時)/写真6:⑦(吸着時)

 ロック式(①③④⑧⑨)は押し当ててからロックをかけるので最初の押し当て時に空気が残ることがあります。ロックする瞬間に一瞬吸盤が持ち上がり浮くため、そのときに空気が入ってしまうことも考えられます。そのため取り付ける人によって性能差が出てしまい、取扱いが割と難しい商品であるとも考えられます。

 今回の実験で、フックが破損または変形したのは②③④でした。②③は吸盤が外れるより先にフック部分が破損したり、変形したまま元に戻らず2回目以降の測定はできませんでした(写真7、8)。④も吸盤は外れませんでしたがフックが伸びきり、試験機のフックが抜けてしまいました(写真9)。②③④に関してはフックの強度を改善すれば、より高い数値が期待できそうです。

写真7:試験後の②/写真8:③の変形挙動/写真9:②の変形挙動

選ぶときのポイント

 吸盤は、塩化ビニル樹脂製で直径が大きなものほど、高い耐荷重性能があります。
 ロック機能については、空気が入らないよう注意してからロックをかけるようにすることが大切です。押し込んで取り付けるプッシュ式のものだと誰でも簡単に取り付けられます。
 フックは金属製のものを選ぶと間違いないでしょう。見た目が華奢な樹脂製のものは変形したり折れたりすることがあるかもしれません。

取り付けるときのポイント

 吸盤内を真空に近い状態にすることが重要です。空気が残ってしまうと、気温が高くなった場合、内部の空気が膨張し、吸盤が外れやすくなります。浴室などでは寒暖の差が激しいので膨張と収縮を繰り返して外れやすくなります。
 また、吸盤は柔らかく、変形しやすいので長く使っているとゆがんできます。ゆがみによって空気が入り、吸着力が落ちてしまいますので、そのようなときは50〜60℃のお湯につけると元の形状に戻りますのでお試しください。

 ツルツルした汚れのない平滑な面で、吸盤内の空気を完全に押し出し真空を保てば、吸盤は何年も外れることはありません。すぐに落ちてしまうような場所は粘着付きの補助板を併用するか、あきらめて他の取り付け場所を見つけましょう。

※ 今回の試験は検証のため、規定以上の負荷をかけましたが、実際の使用ではメーカー表示を守ってお使いください。
※ 当試験は株式会社晋遊舎からの依頼によって行った試験です。「LDK 2014年7月号」に詳細に掲載されています。

写真:LDK 2014年7月(晋遊舎刊)

(2014.06.06 生活科学研究室)

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