商品研究レポート
自然派洗浄剤の実力は

注目の自然派洗浄アイテム
お掃除のアイテムとして、重曹、セスキ炭酸ソーダ(セスキ)、お酢、クエン酸などの単体のアルカリ剤や酸剤が、自然派志向の新たなお掃除アイテムとして注目されて、これらを使ったお掃除の記事をよく目にするようになりました。そこで、これらの洗浄剤の洗浄力がどの程度なのか、市販の住宅洗剤と比較してみました。
実験対象
実験の対象汚れは、家庭内の汚れとして最も頑固なレンジ周りの油汚れを想定しました。
洗浄剤では、自然派洗浄アイテムの重曹、セスキはアルカリ性で油汚れを得意とし、お酢、クエン酸は酸性で水アカなどを得意としているので、今回の実験では重曹とセスキを選び、対照として市販品の住宅用洗剤から一般の住宅用洗剤の「マイペット」とレンジ周りの頑固な汚れ用の洗剤の「マジックリン」を選定しました。さらに、洗浄剤として一時注目されていたアルカリ電解水の「水の激落ちくん」を加えた5種類で洗浄力を比較しました。
レンジ周りの頑固な油汚れの再現
レンジ周りの頑固な油汚れは、付着した油が時間とともに酸化して硬くなり、塗料を塗装したような状態になったものです。これを再現するためステンレス板にハケで均一にゴマ油を塗り、180℃で90分加熱して落としにくい油膜を再現しました。
重曹とセスキは、重曹が溶け残る少し手前の配合(100mlの水に8gを溶解)で調製したものを洗浄液としました。マイペット(洗剤A)、マジックリン(洗剤B)、電解水は原液を使用し、油膜の上にピペッターでそれぞれ0.2 ml滴下して30分放置した後、水洗いして油膜の剥がれ具合(落ち具合)を比較しました。
実験結果
各洗浄液の時間経過による油膜の状態を観察した結果を以下にまとめました。
1.滴下直後
2.2分後
3.5分後
4.20分後
5.30分後
6.水洗い後
まとめ
頑固な油汚れに対す洗浄力は、
①レンジ周り用洗剤(洗剤B・マジックリン) > ②一般住宅洗剤(洗剤A・マイペット) > ③電解水
> ④セスキ > ⑤重曹
の順に、明らかな違いが見られました。
頑固な油汚れに対しては、専用に開発されているレンジ周り用洗剤が洗浄力も高く、汚れを落とすスピードもかなり早いことがわかりました。
セスキもそれなりの効果はありそうですが、もっと時間をかけて浸け置きするなど使用するに当たっては工夫が必要でしょう。重曹はセスキに比べるとpHがあまり高くないので、油を分解する効果は、物理的に擦るという作業を加えない限り、頑固な汚れの除去には不向きな洗浄剤のようです。しかし、重曹は水を少し加えるとペースト状になりますので、研磨剤として使った方が有効であると思われます。
(2014.03.19 生活科学研究室)
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