フジテレビ商品研究所

商品研究レポート

便利なマグネットフック
耐荷重は目安に!

便利なマグネットフック 耐荷重は目安に!


着脱しやすいマグネットフック、最大保持荷重12 kgも!

 玄関ドアや冷蔵庫、レンジ台の側面などに使うと便利なのが、マグネットフックです。マグネットは使える場所は限られますが、シールタイプのフックは外す際に接着剤で汚れることがよくあります。マグネットなら、磁石が付く面ならどこにも使える上、移動も簡単です。最大保持荷重が12 kgという製品も登場し、使用範囲も広がっています。しかし、本当にそれほど重いものが掛けられるのか、様々なマグネットフックを購入し、耐荷重や使いやすさの両面を確認しました。

【試験試料】
 表1の写真に示した表示耐荷重0.8〜12 kg、4メーカー7種類を購入し、試験をしました。

表1:試験したマグネットフック一覧

【様々な場所で計測した耐荷重】
 マグネットフックは鉄や一部のステンレスに吸着させることができます。そこで、家庭用冷蔵庫2種、レンジ台の側面、心材に鉄が使われているマンションの玄関ドア、オフィスとしての利用も考慮したスチールパーテーション、収納扉の6箇所で耐加重を測定しました。
 測定はマグネットフックを設置場所の垂直面に吸着させ、バネ秤をフック部分に引っ掛け、まっすぐ下に引張り、フックが動き始めたときの秤の指示値を耐荷重(kg)としました。計測は表示の耐荷重に合わせた3種のバネ秤を使用、5回繰り返して、最大と最小の値を削除、3回の計測値の平均値を算出しました。

図1:様々な場所で計測した耐荷重の実測結果

商品別に6箇所で耐荷重を計測した結果を図1に示します。同じ商品でも、フックをつける場所によって測定値が変わりました。
吸着させる場所による耐荷重の実測の違いを見ると、同じメーカーのAとBは、冷蔵庫(2)で耐荷重が最も大きくなりました。最も耐荷重の小さかったA(表示耐荷重2.5 kg)では、収納扉では冷蔵庫(2)の耐荷重の半分以下でした。またB(同1.0 kg)では、レンジ台が最も小さく、冷蔵庫(2)に対してわずかに1/3程度でした。
 さらに、同じメーカーのC、D、Eで耐荷重が最も大きい場所だったのは、Cがレンジ台、Dが玄関ドア、Eが玄関ドアと収納扉と、同じメーカーでも異なりました。Fは玄関ドア以外が同じ値でしたが、玄関ドアだけ特出して荷重が大きいのが特徴でした。Gでは、場所による差は少なく、最大のレンジ台に対して最少だった収納扉は7割程度でした。

図2:全商品の耐荷重の実測結果

 図2は表示耐荷重「1」としたときの各商品の実測値の比較です。
 フックB、F以外の5点は、表示されている耐荷重よりも、概ね低い値となりました。特にEは、表示耐荷重1 kgに対して、6箇所の設置場所の耐荷重は、平均して1/4ほどしかなく、表示と実測値が最も大きく違いました。さらに、この5点(A、C、D、E、G)には、強力なネオジウム磁石が使われていますが、磁石が強ければ吸着力も強いという結果にはつながりませんでした。一方、B(表示耐荷重1.0 kg)とF(同0.8 kg)は、表示に対してそれぞれ1.5倍、1.3倍と高くなりました。ただし、今回の7点の中では、表示より実測値が高いのは少数という結果でした。

吸着面の性質と吸着力の関係

 試験した冷蔵庫やレンジ台の心材には鉄が使われていますが、塗装やフィルムコートがあり、すべりが良くなっています。このため、強力な磁石で吸着させても垂直面では滑って移動してしまいます。これが耐荷重の表示値と実測値に差が出た最も大きな要因です。
 また、A、B、Fには吸着場所を傷つけないように、樹脂製のフィルムが貼り付けられています。このフィルムの表面は滑らかなため、磁石が滑る現象を助長しています。一方、C、D、E、Gにはゴムが貼られています。商品によってゴムの材質が違い、D、Gは全面C、Eは部分的に貼り付けられているため、ゴムの滑り止め力が大きく違っています。
 このように、同じ磁石でも吸着場所によって荷重値にバラつきが出たのは、吸着場所の材質の違いと、フックの吸着面の保護材の貼り方の違いが大きな要因になっているものと思われます。

使いやすさの工夫もされている

 今回調査した7点のフックには様々な使いやすい工夫が見られました。表示耐荷重だけに目がいきがちですが、使用する場所に合わせて、使いやすいフックを選ぶことも大切です。
 A、C、D、E、Gの5点は、引っ掛けるフック部分が360度回転させることができるタイプです(写真1)。この5点に共通しているのは、いずれも表示耐荷重より実測値が小さかったということです。回転しないBとFでは、きちんとフックを下に向けるには、何度も吸着させなおしたり、そのままずらしたりする必要があり、フックをつける面を傷つけてしまう心配があります。その点、回転するタイプは物を掛ければ自動的にフックが下に向くのでその必要がありません。またこのタイプは、フックが回転するだけでなく、全て手前にもフックが動きます。
 12 kgと最も表示の耐荷重が大きいGについては、着脱を楽に行えるようにレバーが取り付けられています。レバーを持ち上げることで磁石を浮かせる仕組みになっており、小学生の子供でも軽い力でも着脱ができました(写真2)。単価は高いですが、誰でも安全に着脱できる商品といえます。

写真1

写真2

マグネットフック選定のポイント

 実験の数値だけを見ると、表示耐荷重に比べ実測値が小さい商品が目立ちましたが、吸着させる相手の面との摩擦によっても吊るせる重さが大きく変わることもわかりました。
 製品のパッケージの表示を見ると、表に表示されている耐荷重の他に、「玄関扉」や「キャビネット側面」など場所ごとの耐荷重の表記や、壁など垂直面の耐荷重の他に天井など水平面に吸着させて下に引っ張る場合の耐荷重の表記もありました。これらを見るとパッケージの表に大きく表記されている耐荷重はその中でも、数値の大きいものが表示されています。
 このように、パッケージの表に表記されている耐荷重は最も条件のよい場合の値で、実際に商品を選ぶときには、パッケージの裏に書かれている吸着する場所ごとの値を参考にするか、実際にフックにかける物の重さより、耐荷重が十分に大きめの商品を選ぶようにすれば失敗が少なくなります。
 一方、表示されている耐荷重に対し、実測値の小さかった商品に価値がないわけではありません。最も差が大きかったEは、他の商品に比べ吸着面が小さいので、狭い場所に使うのに便利です。すべりはするものの吸い付こうとする力は強いので、桟などの段差を利用して滑らないようにすれば利用価値は十分にあるでしょう。
 このように、マグネットフックを選ぶ際には、まず、吸着する面の条件と吊り下げるものの重さを確定し、パッケージの表示をよく確認しながらその条件に合った商品を選ぶのがポイントと言えます。

 家庭内だけでなく、オフィスや学校のロッカーなどにも、便利に活用できるマグネットフック。重いものがかけられるほど良いと、表示された耐荷重だけに目がゆきがちです。しかし、商品を選ぶ際は、耐荷重はやや大きめのものを目安に、さらに、それ以外の点にも目を向け、使う場所や吊り下げるものに合うかどうか、使用する人が使いやすいかどうかを見極めて、上手に選んでください。

 全体の使いやすさについては、表2にまとめました。

表2:一般モニターによる実使用テスト

(2014.02.28 生活科学研究室)

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