商品研究レポート

防炎グッズの
防炎性能をテスト
防災ずきん、ブランケット類について燃焼試験を行い、防炎性能を比較しました。
震災以降、注目される防災グッズの中からスーパーなどで目にする防災ずきんと避難の際に役立つブランケット類の防炎性能をテストしました。
見直される防災ずきん


地震や火災などで避難する際、頭部を守るならヘルメットに勝るものはありませんが、小学校では軽くて耳・首・肩までを保護できる防災ずきんを採用する例も多いようです。防災ずきんはクッション部分によるフィット感、首に負担がかからないなどの利点から好まれるようです。
防災ずきんは、最近ではスーパーなどでも取り扱われるようになり種類も多く、どんな商品を選んでよいか迷ってしまう人も多いと思います。
そこで、商品選定の参考になるよう性能試験を行いました。
燃焼試験で比較
販売されていた防災ずきんの一部には「防炎製品マーク」のタグが付いていました。これは日本防炎協会が定めた試験に合格した商品で、燃えにくいことを保証しています。しかし、マークが付いていない商品でも「防災」などの表記があり、火の粉の中の避難にも使用できるのかもしれません。そこで日本防炎協会の試験とは別のUL規格を参考にした試験条件で比較試験を行いました。
テストに選んだのはスーパーで購入した①タイカくん(株式会社たまき製)②防災頭巾L(三河繊維産元協同組合製)③子供用防災頭巾の3種。①タイカくんと②防災頭巾Lには「防炎製品マーク」がついていました。
試験はUL規格の中の「UL94」の試験方法を参考に行ってみました。UL規格は、アメリカの火災保険会社の協会が設立したアメリカ圏で重視される安全試験規格で、「UL94」は一般的な材料の難燃性をガスバーナーの炎を当てて燃焼の程度を調べる試験方法です。
15㎝角に切り出した試料を水平に保持し、試料の下から5秒間隔でガスバーナーの炎(炎長2㎝)を当てたり離したりという操作を5回繰り返します。今回は、試料にあく穴の大きさや燃焼の様子から炎に対する燃えにくさを比較しました。
テストの結果、燃えにくさは①タイカくん→②防災頭巾L→③子供用防災頭巾の順となりました。
タイカくんはバーナーを当てても炎は出ず、燃えませんでした。②防災頭巾Lはバーナーを当ている間は炎を出して燃えますが、離すと炎は消
えました。③子供用防災頭巾はバーナーの火を外しても炎を上げて燃え続け、大きな穴があきました。
それぞれの表地の素材には、①タイカくんは燃えにくいアラミド繊維、②防災頭巾Lは難燃ポリエステル、③子供用防災頭巾はポリエステルと綿の混紡が使われていました。防災ずきんの防炎性能は、表地の難燃性により大きく変わってくるようです。今回の試験では「防炎製品マーク」が付いていた2種で結果に差が出ましたが、どちらもバーナーを外すとそれ以上燃え広がることはなく、日本防炎協会の試験を通っている「防炎製品マーク」付き商品であれば「UL94」の試験でも良い成績が得られることがわかりました。
ブランケットもテスト
防災ずきんが無い場合、暖を取るためのブランケット類も、避難の際に炎をよけるためのアイテムになる可能性があります。そこで難燃繊維を使ったブランケットと一般の繊維を使ったひざ掛けで、防災ずきんと同様の試験を行ってみました。
試験に使用したのはタイカくんの表地と同じアラミド繊維が使われている④カケルくん(株式会社たまき製)とポリエステル製の⑤発熱するあったかひざ掛けの2種類です。
④カケルくんはバーナーの火を当てても燃え広がることありませんでしたが、⑤発熱するあったかひざ掛けはバーナーを当てると炎を出して燃え、穴が大きくなりました。
日常的に使っているひざ掛けでも、燃えにくい素材を選んでおくと、いざというときに安心だといえそうです。
防炎製品マークが安心
今回の試験で、防災ずきんは防炎製品マークがついている商品が安心ということ、ひざ掛けなどの繊維製品は難燃繊維製を選んでおくと被災時に役立つことがわかりました。普段から災害時のことを考えて購入することはないかもしれませんが、命を守るためにも災害時のことも考えて日用品を選んでください。
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(2013.05.14 生活科学研究室)
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