フジテレビ商品研究所

商品研究レポート

地上波デジタルを室内アンテナで

地上波デジタルを
室内アンテナで

室内アンテナで地上波デジタル放送が受信できるか実験してみました。

 テレビの地上波デジタル放送は12月1日で放送開始1周年を迎えました。デジタル放送は画質・音質がよいことは知られていますが、もう一つの特徴としてマルチパス(※文末参照)に強いことが上げられます。
 このマルチパスに強い特性を確認するために、室内アンテナで地上波デジタル放送が受信できるか実験してみました。

 実験は現在アナログ放送と地上波デジタル放送の両方の電波を送信している東京タワーから、4.5km離れた品川区のビルの6階のオフィスを受信点としました。ビルの窓からは、隣接する高層ビル群の間に東京タワーが見えます。さらに受信する室内アンテナは、窓から13m離れた部屋の中央に置きました。東京タワーから出た電波は、タワーの両側に見えるビル群に反射し、さらにオフィスの中で反射しアンテナに届くという設定です。反射ルートがいくつもあるため複雑なマルチパスが起きます。 受信に使った室内アンテナは、国産のアンプ内蔵型で、VHFのロッドアンテナはいっぱいに延ばしアンプのスイッチを入れて測定しました。

東京タワーが窓から見えるビルの6階で実験 実験に使用した室内アンテナ日本アンテナ製 RB-200

 テレビの2分割表示機能を使って、アナログ放送と地上波デジタル放送を同時に映しました。下の写真の画面右側がアナログ放送、左側が地上波デジタル放送の映像です。

 予想どおりアナログ放送の画像はノイズが多い上に映像が何重にも重なっていて、何が写っているかはわかりますが、とても鑑賞に耐える映像ではありません。一方、地上波デジタル放送はノイズ、ゴーストともまったくなく非常にきれいな映像です。

 室内アンテナは屋外アンテナに比べると性能が著しく劣り、「室内アンテナではテレビはきれいに映らない」というのが一般的な認識でした。しかし、条件次第ですが、デジタル放送の場合は必ずしもそうではないようです。これはデジタル化の一つの恩恵といえるでしょう。

実験結果

 ただし、どんな状況下でも室内アンテナできれいに受信できるわけではありません。実験中に人が通ったり、雨が降ったりすると映像が乱れ、アンテナを少し動かすと全く映らなくなりました。今回の実験条件では信号レベルはきれいに映る限界に近かったようで、安定性の面では今一歩でした。

 テレビの地上波デジタル放送を受信するためには、地上波デジタルに対応しているケーブルテレビ経由で受信するか、地上波デジタルの送信所向けにアンテナを設置する必要があります。新築マンションでは予めケーブルテレビを引き込んでいる物件が増えているようですし、戸建ての場合は自由にアンテナを設置することができます。
 一方、ケーブルテレビを引き込んでいない古いマンションや賃貸住宅では、既存のアンテナの向きを変更することや、アンテナを新設することは簡単ではありません。今後、発売されるテレビは地上波デジタル対応が増えていくと思われますから、そのような集合住宅ではテレビを買い換えても、せっかくの地上波デジタルの受信機能がしばらく使えないことになります。室内アンテナはそんな場合の一時しのぎでしたら十分に使えると思われます。

受信できるかどうかの目安は、

  1. その地域で地上波デジタル放送が行われていること。(現在、関東圏、中京圏、近畿圏、富山周辺です)

  2. 室内アンテナを置いた位置から、デジタル放送を送信しているアンテナが肉眼ではっきり見えること。


 ただ、この条件はあくまでも目安です。電波の通り道は見えませんから、専用の測定器を持っていない一般の方が、屋内アンテナで受信できるかどうかを正確に判断することはほとんどできません。ケーブルテレビを除いて確実に受信する方法は、屋外に送信所に向けたアンテナを立てる以外にありません。
 それでも古い室内アンテナがあったら捨てずに取っておきましょう。台風や地震で屋外のアンテナが壊れたときには、役に立つかもしれません。

※マルチパスとは?
 マルチパスとは送信所から出た電波が、家庭の受信アンテナに直接届く以外に、山やビルに当たっていろいろなルートをたどった電波が届いてしまうことをいいます。
 反射した電波は若干遅れて届くため、従来のアナログ放送では画面が二重、三重に見えたり、うすく影が出たりするゴースト障害が発生し、非常に見にくい映像となります。
 送信アンテナから距離があると電波も弱くなり途中の障害物も増えるので、映りが悪くなるのは当然ですが、最近は送信所の電波が強い場所でも、住宅密集や高層ビルの影響で、ゴーストが多くて見えにくい場所が増えてきています。地上波デジタル放送はこの点を考慮して、マルチパスが起こっても画質が劣化しにくいように考えられています。

室内アンテナ豆知識

 今回使用した室内アンテナは、VHFの電波をロッドアンテナで、UHFの電波を小さなオレンジ色の板状の部分で受信しています。他の室内アンテナもほとんど同じような構造をしています。
 地上波デジタル放送の電波はすべてUHFで放送されるので、地上波デジタル専用で使うのなら、ロッドアンテナを立てなくても機能します。
 上記の写真のようにたいへんコンパクトです。

(2004.12.16 商品研究室)

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