今までの研究レポート

ホワイトソースを
簡単に作る
ホワイトソースは、牛乳と小麦粉とバターという、ごく身近な食材で作ることができ、子どもが好きな味なので、家庭でも作る機会が多い。しかし、「ダマができる」「焦がして白いソースに仕上がらない」など失敗することも少なくない。失敗なく、手軽に作る方法を調べた。
研究目的
電子レンジを使い、ダマのない滑らかな白いホワイトソースを作る方法と、ソースとグラタン、コロッケに適した濃度を調べる。
ダマを防ぐ一般的な方法
ホワイトソースは、バターで小麦粉を焦がさないように炒め、牛乳で溶きのばして作る。牛乳を加えると小麦粉は糊状になるが、部分的に濃い糊状の塊ができてしまうことがある。これが“ダマ”である。
ダマを防ぐため、
・小麦粉をサラサラとしてくるまで、焦がさないようによく炒める
・牛乳を加える前に鍋をいったん火から降ろし、ぬれ布巾の上に置いて鍋底の温度を下げる
・牛乳を加えながら、手早く混ぜる
など、さまざまなコツが紹介されている。また、牛乳は冷たいままがよいと書かれている料理書もあれば、温めたほうがよいと書かれているものもある。
いずれにしても、「焦がさないように」「手早く」といった調理者の技量にかかわる点がコツである以上、調理初心者がダマを作ってしまう確立は高いままである。
フライパンと電子レンジを比較
ホワイトソースをフライパンと電子レンジで作り、手間とソースの味を比較した。
《材料》
バター大さじ4 小麦粉大さじ3 牛乳1・1/2カップ
《調理方法》
【フライパン】
① フライパンにバターを溶かす。
② 小麦粉を入れて焦がさないように炒める。
③ ダマができないように気をつけながら牛乳を加え混ぜる。
【電子レンジ】
① 大きめの耐熱ボウルにバターを入れてラップをかけ、500Wで50秒加熱する。
② 小麦粉を加えて泡立て器でよく練り混ぜる。
③ 牛乳を少しずつ加え混ぜ、ラップをかけずに500Wで2分30秒加熱する。
④ 均一になるまで混ぜ、再び2分30秒加熱する。
⑤ 均一になるまで、よく混ぜる。
《結果》
でき上がり量は同じだったが、味と粘りには違いがあった。レンジのソースは牛乳の香りが残り、粘りは強めだった。一方、鍋のソースは一体感のある味に仕上がった。
フライパン調理は常にかき混ぜなければならず、手間がかかる。小麦粉の炒め方や牛乳の加え方次第で焦げたりダマができたりと、失敗することも多い。一方、電子レンジを使うと泡立て器でよく混ぜるだけで滑らかなソースができる。
手間がかからず、失敗もないというメリットを考えると、家庭でのホワイトソース作りは電子レンジ調理が向いているといえるだろう。
ソースの濃度と料理
ホワイトソースの濃度は牛乳と小麦粉の比率で決まる。代表的な料理と材料の割合の関係を、電子レンジを使って検討した。
《調理方法》
牛乳300㌘(約1・1/2カップ)を約2人分の基準量とし、バターと小麦粉は同量ずつ使った。作り方はバターの加熱時間を変えるだけで、前述の手順と同様にした。
《結果》
家庭で作ることが多いグラタン用のバターと小麦粉の量を基準にすると、ソース用はその半分、コロッケ用は倍にすれば適する固さになることがわかった。
なお、とろみが強くなり過ぎたときはスープや牛乳、白ワインなどを加えて調節するとよい。
まとめ
ホワイトソース作りに電子レンジを使うと手軽で失敗がない。
グラタン用の配合を覚えておけば、簡単にソースやコロッケなどに応用することできる。
余ったソースは冷凍保存もできるので、気軽にお試しを。
(2014.12.12 食品料理部門)
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