エフシージー総合研究所・フジテレビ商品研究所

2014年研究発表

室内空間における2-メルカプトピリジン-N-オキシド含有複合剤の抗菌効果

Study on the antimicrobial effect of mixed digestive preparation include 2-Mercaptopyridine N-Oxide
○橋本 一浩1)(会員),川上 裕司1)(会員),小田 尚幸1)(会員), 石田 智洋2)(非会員),本橋 一真2)(非会員),関 秀行2)(非会員)
1) (株)エフシージー総合研究所IPM研究室,
2) (株)ピュアソン 品質管理部

○Kazuhiro HASHIMOTO *, Yuji KAWAKAMI *, Hisayuki ODA *, Tomohiro ISHIDA **, Kazuma MOTOHASHI **, Hideyuki SEKI **
* Laboratory of Environmental Science, FCG Research Institute,Inc.,
** Division of quality management, Pureson Co. Ltd.

Abstract

Abstract: As for 2-Mercaptopyridine N-Oxide (2-MPO), the antimicrobial effect to the microorganism is known, and the hazardous property is low. We studied the effectiveness of aerosol of 2-MPO, reducing the microbial contamination of indoor. By spraying the aerosol of 2-MPO to lumber and paper, it was possible to impart antimicrobial effect on the material. In addition, we have conducted a verification of 2-MPO in a medical facility. As a result, contamination of airborne fungi was decreased.

キーワード:
2-メルカプトピリジン-N-オキシド(2-Mercaptopyridine N-Oxide),
抗菌(antibacterial),真菌(fungi),細菌(bacteria)

緒言

 細菌・真菌・藻類などに対する抗菌効果が知られている2-メルカプトピリジン-N-オキシド塩(以下,2-MPO と称す)は,非塩素系,非界面活性剤,非農薬指定物質であるため有害性が低い。演者らは,室内空間に持続効果のある抗菌・抗カビ処理を施すことを目的として,2-MPO を主剤とした複合製剤の開発を行った。本大会では,2-MPO複合剤エアロゾルの抗菌効果について報告する。

方法

試験①:5cm×5cm の木板に,Cladosporium cladosporioides NBRC6348 の分生子を懸濁させたPDB を滴下し(約104cfu),試験片とした。ガラス製の小型チャンバー(約170L 容)内に試験片を設置し,2-MPO 複合剤のエアロゾルを充満させた。1 時間後に試験片を回収した。試験片は,25℃,96%±2%RH で培養し,1 週ごとに撮影した。

試験②:樹脂製ボックス(約100L 容)の蓋に貼った濾紙にAspergillus niger NBRC6341 またはPenicillium citrinum IFM58529 の分生子を懸濁したPDA 軟寒天培地をしみこませた(約105cfu)。ボックス内にDG18 平板培地を置き,2-MPO 複合剤エアロゾルを散布,3日後にDG18 を回収した。培地上のコロニーと,濾紙上の分生子の色彩で真菌の発育状況を判断した。

試験③:神奈川県に所在する医療施設内のエアコン5台(A~E)を対象に,実地試験を行った。2-MPO処理前後の浮遊真菌濃度の推移について,エアーサンプラーを用いて評価した。始めにエアコンの付近で室内浮遊真菌をサンプリング,続いてエアコン吹出し口の前にエアーサンプラーを近付け,吹出し空気をサンプリングした。次に,2-MPO複合剤をエアコン吹出し口に向けて散布した。8週間後,再び同様の浮遊真菌サンプリングを実施した。分離培地には,それぞれDG18 寒天培地を用いた。培地は25℃で1週間培養し,発生したコロニー数をカウント,形態観察により同定を行った。

結果および考察

試験①:対照区の木板にはCladosporium が著しく発育していたが,2-MPO 剤を暴露した木板 ではカビ発育が明らかに阻害されていた(Fig.1)。

対照区の木板

試験②: 2-MPO剤 を噴霧することで,培地上のコロニー形成(落下菌)と濾紙上の分生子形成が見られなくなり,A. niger およびP.citrinum胞子の成長を抑制していた(Fig.2)。

2-MPO剤 を噴霧、胞子の成長を抑制

試験③:浮遊真菌濃度は,同一の室内空間でも日々,数値が変化するため,比較が難しい。今回は,室内空気とエアコン吹出しの真菌濃度比*を算出し,2-MPO処理前後で比較した。
 処理前では,エアコンDの真菌排出量が特に顕著で,濃度比*は3.38であった。エアコンDの吹出し空気では,Penicillium glabrumが700cfu/m3であった。周囲の室内空気との菌叢比較から,エアコンDは明らかにP. glabrumに汚染されており,吹出し空気とともに真菌胞子を吹出していると考えられた。2-MPO処理8週間後,エアコンDの濃度比は3.38から0.65へ大きく低下した。その他のエアコンについても,濃度比は概ね低下する傾向にあった(Table 1およびFig.3)。これらに対し,未処理としたエアコンEは濃度比に大きな変化は無かった。また,エアコンDの内部を汚染していたP. glabrumの吹出し空気濃度は700 cfu/m3から20 cfu/m3へと減少していた。なお,8週間後の真菌濃度が上昇している箇所が複数見られたが,これはCladosporiumなど屋外から流入した真菌の影響と考える。
 以上より,2-MPO 複合剤のエアルゾル散布により,室内環境中の真菌に対する抗菌効果が確認できた。今後,様々な室内環境で実用試験を実施する予定である。

室内空気とエアコン吹出しの真菌濃度比*を算出し,2-MPO処理前後で比較

室内環境学会、ポスター写真

環境科学研究室では、「ダニ」「カビ」「微小昆虫類」「抗菌性評価」など
室内環境の有害生物の研究・調査に対応いたします。

【室内環境生物分野の試験および研究】
  • 室内環境中で健康被害を及ぼすダニ・微小昆虫類・カビなどの研究
  • 喘息やアトピー性皮膚炎などのアレルゲンとなる生物の研究
  • 大学や国公立の研究機関との共同研究
  • 空気清浄機の除菌性能評価、抗菌素材の性能評価などの商品実用試験
  • 異物混入検査

▲PageTop