エフシージー総合研究所・フジテレビ商品研究所

2014年研究発表

一般住宅の寝室から採取したハウスダストに含まれるダニ,昆虫,真菌の調査

A Survey on the isolation of house dust mites, insects and.fungi from house dust of bedroom in general residences
○川上 裕司1)(会員),橋本 一浩1)(会員),小田 尚幸1)(会員), 神山 典子2)(非会員),赤野 景子2)(非会員),西澤 孝士2)(非会員), Toby BASEY-FISHER 2)(非会員),麻野 信弘2)(非会員),福冨 友馬3)(非会員)
1) (株)エフシージー総合研究所IPM研究室
2) ダイソン
3) 国立病院機構相模原病院臨床研究センター

○Yuji KAWAKAMI *1, Kazuhiro HASHIMOTO *1, Hisayuki ODA *1, Noriko KOYAMA *2, Keiko AKANO *2, Takashi NISHIZAWA *2, Toby BASEY-FISHER *2, Nobuhiro ASANO *2 and Yuma FUKUTOMI *3
*1 Laboratory of Environmental Science, FCG Research Institute, Inc,
*2 Dyson Limited,
*3 Clinical Research Center for Allergy and Rheumatology, Sagamihara National Hospital,

Abstract

As for the typical allergen in indoor environment, mites, pollen, booklices, pet dander and fungi are known. This time, we examined the distribution of organisms causing allergens in 45 residences in Tokyo, Kanagawa, Saitama, Chiba and Ibaraki. As a result, housedust mites (Dermatophagoides farina and D. pteronyssinus) and booklices were found from housedust of nearly all residences. Moreover, Aspergillus section Rectricti and Wallemia sebi isolated from housedust in each residences.

キーワード:
寝室,ハウスダスト,室内塵性ダニ,昆虫,真菌

緒言

 近年,高断熱高気密の住宅が主流となったことにより,年間を通じて室内塵性ダニ類やチャタテムシが繁殖しやすくなったといわれている。そこで,ダニやカビが繁殖しやすい寝室を季節ごとに調べて現状を把握し,アレルギー疾患回避のための基礎データを得る目的で調査を実施した。

方法

 調査は2014年春季(3〜5月)の夏季(2014年8月)に1回ずつ実施した。
 一般住宅45軒(東京都33軒,神奈川県6軒,埼玉県4軒,千葉県1軒,茨城県1軒)のモニターにサイクロン式電気掃除機2機種(Dyson-DC61とDC63)を配布し,ハウスダストの収集にご協力いただいた。ハンディータイプのDC61は寝具,キャニスタータイプのDC63は床のハウスダストの吸引に用いた。寝具および床の90×180cmの範囲をマスキングテープでマーキングしてから正確にこの範囲を1分間かけて吸引した。掃除機から取り出したハウスダストをジップロックに入れて,FCG総研宛に郵送頂いた。サンプルダストは重量を計量し,以下の3つに取り分けてそれぞれ検査を行った。①ダニ・昆虫類分析・同定検査用(②と③を除いた全量),②ダニ抗原量分析(ELISA)用(約50mg),③真菌分析・培養検査用(約10mg)。
①ダニ・昆虫の分析法
 ダーリング液遠心浮遊法により,ダストからダニや昆虫を分離し,実体顕微鏡および生物顕微鏡で同定検査を行った。
②ダニ抗原の分析法
 ELISA測定を実施し,サンプル1mgあたりのダニアレルゲン量(Der f 1およびDer p 1)を算出した。
③真菌の分離・培養法
 サンプルダスト0.05%をTween20加PBSに懸濁し,懸濁液をDG18寒天平板培地に塗抹した。25℃で7日間培養し,更に純培養して集落と微細構造から種または属の同定を行った。

結果および考察

 室内塵性ダニ類のうち最も多く分離されたのは,コナヒョウヒダニ(D. f. )であった。分離率は100%で45軒全てのダストからD. f.が見つかった。コナヒョウヒダニ由来の抗原Der f1も検出率100%であった。D. f. とともに重要なアレルゲンとされているヤケヒョウヒダニ(D.p.)の分離頻度は,D. f.に比較すると低く,45軒中18軒(40%)であった。ヤケヒョウヒダニ由来の抗原Der p1の検出率は45軒中18軒で53.3%であった。その他のダニではケナガコナダニ,ナミホコリダニ,フツウマヨイダニ,ツメダニ類,ササラダニ類などが分離されたが,いずれもヒョウヒダニ類ほど分離頻度は高くなかった。この結果から,近年の寝室における室内塵性ダニ類の優占種の筆頭はD. f.であると考える。
 また,D. f.数は寝具・床ともに春季よりも夏季の方が多く(Fig.1および2),Der f 1も夏に増加していた(Fig.3および4)。 昆虫類については,チャタテムシが多く,D. f.と同様にほぼ全ての住宅で見つかり,夏季に増加する傾向が明らかだった。
真菌については,Aspergillus section RestrictiA. restrictus等)やWallemia sebiなど好乾性真菌が中心であった。いずれもアレルゲンとなる菌類であることが注目すべき知見である。
居住者が一日の中で一番長く接する寝具には,アレルゲンとなるダニやカビ(微細塵となった死骸)が多く付着していることが明らかであり,居住者が複数の生物アレルゲンに同時暴露される機会が多いことが示唆された。

IPM研究室が大会長奨励賞を受賞

2015年12月3日
平成27年度室内環境学会学術大会にて(沖縄コンベンションセンター)

 平成27年度室内環境学会学術大会にて、上記の研究テーマが、大会長(工学院大学教授柳先生)および室内環境学会役員会の審査<研究成果および発表技法が優れているとの評価>により、大会長奨励賞として評価された。
 本学会での受賞は、平成24年大会でのパネル発表賞に続き2度目の受賞。

学会発表風景

環境科学研究室では、「ダニ」「カビ」「微小昆虫類」「抗菌性評価」など
室内環境の有害生物の研究・調査に対応いたします。

【室内環境生物分野の試験および研究】
  • 室内環境中で健康被害を及ぼすダニ・微小昆虫類・カビなどの研究
  • 喘息やアトピー性皮膚炎などのアレルゲンとなる生物の研究
  • 大学や国公立の研究機関との共同研究
  • 空気清浄機の除菌性能評価、抗菌素材の性能評価などの商品実用試験
  • 異物混入検査

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