エフシージー総合研究所・フジテレビ商品研究所

2014年研究発表

技術解説

室内浮遊カビとマイコトキシン

An indoor airborne fungi and a mycotoxin
川上裕司 Yuji Kawakami

Abstract

 Airborne fungi in the indoor environment are classified into the genuses of Cladosporium, Penicillium, and Aspergillus respectively. Especially Aspergillus conforms to the Japanese climate, and in order to manufacture the Japanese traditional food(soy sauce, dried bonito, sake, etc.), these fungi are used as the indispensable useful micro-organisms. On the other hand, many injurious fungi which have pathogenic organism are also contained, and the fungi control of the current issue has become furthermore important skill in medical mycology. About the mycotoxin producing of Aspergillus, until now, there are many reports about a virulent when a mycotoxin goes inside the body from people’s mouth. However, the health disturbance by people inhaling the fungi of a mycotoxin producing has seldom been reported. A writer explains that two species of fungi(A. fumigatus and A. ochraceus)which have mycotoxin production capacity in this article exist in a usually as indoor airbone fungi.

キーワード:
室内浮遊真菌  airborne fungi  カビ毒  mycotoxin
アスペルギルス・フミーガータス  Aspergillus fumigatus
アスペルギルス・オクラセウス  Aspergillus ochraceus  日内変動  diurnal variation

はじめに

 土壌などをルーツとして大気中を浮遊する真菌類(以下、カビと称する)は、一般住宅、学校、病院、図書館、美術館、店舗、工場などあらゆる室内環境に侵入して、二次的なカビ被害を引き起こすことは周知の事実である。近年、室内環境中の浮遊菌による健康影響が注目されるようになり、特に、アレルギー疾患を引き起こすことが一般にも知られるようになった。カビによる疾病は大きく分けて3つある。 カビが産生する有毒二次代謝産物による中毒症、 カビが人体へ侵入感染して発症する表在性または深在性の真菌症、 空気中に浮遊するカビ胞子や代謝産物を吸入することによって発症するアレルギー性疾患である(表1)。室内環境中に普通に浮遊するカビは、クロカビ(Cladosporium)、アオカビ(Penicillium)、コウジカビ(Aspergillus)のいずれかの属に分類されるカビが大半を占めている。特に、Aspergillus属のカビは日本の気候風土によく適合しており、味噌、醤油、鰹節、酒、焼酎など和食文化に欠くことのできない有用菌として利用されてきた。その反面、前述の① 〜③ の病原性を有する有害菌も沢山含まれており、医真菌学的にも重視されている1),2)。

 近年、日本の住宅は高断熱高気密の形態に移行したことにより、室内の換気回数が減少した。ご承知の通り、換気回数とは、窓を閉め切った状態で、室内空気が希釈されながら自然に1時間あたり何回入れ替わるかを示す「換気の指標」である。例えば、暖房時の換気回数(回/h)の比較事例を見ると、木造住宅では0.5〜1.0回/hであるのに対してコンクリート住宅では0.2〜0.6回/hである3)。このように木造では自然の空気の出入りが多いが、コンクリートでは気密性が増して空気の出入りが明らかに減少する。そのため、気密性の高い住宅で、何らかの汚染物質が室内で発生すると長時間滞留する可能性が高くなる。近年、内部結露したエアコンの内部で発生したカビの胞子が室内に高濃度で長時間浮遊することに よる「アレルギー性疾患」が顕在化している4),5)。「室内浮遊カビの人への健康被害」が注目されつつある昨今、筆者らの研究グループは浮遊カビ(特に、Aspergillus属のカビ)のマイコトキシン産生性と人への健康影響との関連性について着目し、研究中である。本稿では、室内浮遊カビとマイコトキシン産生性について調査データをまじえて解説する。

環境科学研究室では、「ダニ」「カビ」「微小昆虫類」「抗菌性評価」など
室内環境の有害生物の研究・調査に対応いたします。

【室内環境生物分野の試験および研究】
  • 室内環境中で健康被害を及ぼすダニ・微小昆虫類・カビなどの研究
  • 喘息やアトピー性皮膚炎などのアレルゲンとなる生物の研究
  • 大学や国公立の研究機関との共同研究
  • 空気清浄機の除菌性能評価、抗菌素材の性能評価などの商品実用試験
  • 異物混入検査

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