エフシージー総合研究所・フジテレビ商品研究所

2014年研究発表

都市有害生物管理学会 第35回年次大会

一般住宅におけるノシメマダラメイガの微胞子虫感染調査
日時・場所:2014年6月27日 日本大学生産工学部 津田沼キャンパス
発表者:○小田 尚幸1)、川上 裕司1)、橋本 一浩1)
1)エフシージー総合研究所 IPM研究室

 ノシメマダラメイガ(Plodia interpunctella)は、一般住宅に極めて普通に生息する鱗翅目昆虫である。幼虫は穀物を食害する貯穀害虫として著名であるが、成虫は体表面に人体に有害なカビ胞子を付着させていることが演者らの調査で明らかになっている。また、ノシメマダラメイガには、寄生性の微生物である微胞子虫の感染が1960年代に海外で報告されている。微胞子虫は大きさ数μmほどの細胞内偏性寄生性の単細胞真核生物の一群(菌学者は菌類として分類している)であり、昆虫をはじめ魚類・甲殻類など幅広い宿主域を有している。また、ヒトに感染性を有する微胞子虫も数種確認されており、衛生学的な重要性も高いことがわかっている。

 しかしながら、ノシメマダラメイガにおける微胞子虫感染については、国内での調査報告はない。そこで我々は、国内のノシメマダラメイガの微胞子虫感染の現状を把握することを目的として、2013年夏季に関東1都3県所在の計10軒の住宅を対象としてノシメマダラメイガの調査を行った。

 ノシメマダラメイガの捕獲には、粘着トラップ「ノシメマダラメイガ用フェロモントラップ フジトラップ・ガチョン」(富士フレーバー株式会社)を用いた。調査は7月上旬から10月上旬の間に各家庭で6〜9回行った。トラップは、室内のリビングルーム、ベランダ、ベランダから離れた屋外の計3箇所の床から1.5mとなるように吊り下げて、1週間設置した。

 調査の結果、1軒あたりの合計で約530匹のノシメマダラメイガが捕獲された。微胞子虫感染の有無は、1トラップで捕獲したノシメマダラメイガをまとめて生理食塩水とともに磨砕し、位相差顕微鏡を用いて磨砕液を検査した。この結果、8軒の住宅に設置した計17個のトラップのノシメマダラメイガから、微胞子虫が分離された。17株の微胞子虫における、時期的または地域的な偏在性は確認されなかった。分離された微胞子虫は、顕微鏡のデジタルメーターを用いて1株当たり20個の微胞子虫胞子の長径と短径を計測し、その胞子サイズの平均値を算出した。分離した微胞子虫の胞子サイズは2つに大別でき、9株は平均 3.35μm×1.68μm、1株は4.27μm×2.70μmであった。残りの7株は胞子濃度が薄いため計測できなかった。種の同定のため、分離された胞子サイズの平均値を既知の昆虫感染性微胞子虫のサイズと比較したところ、これまでに海外でノシメマダラメイガから分離された微胞子虫のサイズとは明らかに異なっていた。そして、カイコから分離された微胞子虫の一属であるTelohania sp. と近いサイズであることが判った。

 精密同定を行うため、微胞子虫のDNAを抽出し、rRNA遺伝子配列のSSU領域の遺伝子配列の解析を行った。PCRの結果は、12株から約1200bpのPCR産物が得られたが、4株は配列解析ができる濃度まで増幅することができなかった。また、胞子サイズが最も大きい1株はPCR産物の確認ができなかったため、微胞子虫ではないことが示唆された。

 本公演では、分離された微胞子虫の発生動向および他の昆虫感染性微胞子虫との比較結果などの性状に関する詳細と考察について報告する。

環境科学研究室では、「ダニ」「カビ」「微小昆虫類」「抗菌性評価」など
室内環境の有害生物の研究・調査に対応いたします。

【室内環境生物分野の試験および研究】
  • 室内環境中で健康被害を及ぼすダニ・微小昆虫類・カビなどの研究
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  • 大学や国公立の研究機関との共同研究
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  • 異物混入検査

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