2014年研究発表
都市有害生物管理学会 第35回年次大会
2-MPO複合製剤による抗菌・抗カビ効果に関する研究日時・場所:2014年6月27日 日本大学生産工学部 津田沼キャンパス |
発表者:○橋本 一浩1)、川上 裕司1)、小田 尚幸1)、石田 智洋2)、関 秀行2)
1)エフシージー総合研究所 IPM研究室 2) (株)ピュアソン品質管理部 |
緒言
微生物は環境中における視覚的・衛生的な汚染と深く関わっており、除去すべき対象として一般の方々の関心も高い。これまでに様々な抗菌・抗カビを謳う商品が研究・開発されている。
演者らは、室内の空間全体に抗菌・抗カビ処理を施すことを目的として、安全性の高いピリジノキサイドを主剤とした抗菌・抗カビ剤の研究・開発を行っている。今回、2-MPO(2-メルカプトピリジン-N-オキシド塩)を主剤とした複合製剤を空間散布し、その抗菌・抗カビ効果について検証を行ったので報告する。
方法
【ハロー法による抗菌効果の確認】
2-MPO製剤の抗菌効果を確認するため、2-MPO含有量5000ppm、500ppm、10ppmの各溶液について、細菌5種・真菌33種に対するハロー法(JISL1902を参考とした)を実施した。
【空間散布による抗菌効果の検証】
5cm×5cmにカットした濾紙・木板の表面にCladosporium cladosporioides菌液を滴下し(滴下菌数は約104cfu)、1時間風乾させることにより試験片とした。ガラス製の小型チャンバー(縦42 cm×横44 cm×幅90 cm=約170L)内に試験片を3枚ずつ設置した。無水エタノール15mLにMIS製剤3.3ppm溶解させ、DMEガスとともにスプレー缶に充填した。2-MPOスプレーを小型チャンバーに入れて噴射し、直ちにチャンバーの蓋を閉めて密封し、チャンバー内の気中に2-MPO製剤を充満させた。1時間曝露させた後、蓋を開け試験片を回収した。対照として、同時作製した試験片3枚をスプレー蒸気に触れない別空間に置いた。回収した試験片は、25℃、96%±2%RHで7日〜14日間培養した。時間経過ごとに、各試験片の状況を撮影した。
結果と考察
【ハロー法による抗菌効果】
ハロー法試験により、2-MPO製剤は供試した細菌5種、真菌33種全てに対して阻止円を形成することを確認した。環境中に存在する細菌・真菌には概ね抗菌効果を示すと考えられる。
【空間散布による抗菌効果】
対照区の濾紙および板には著しいC. cladosporioidesの発育が見られたが、2-MPOを暴露した試験片ではカビ発育が明らかに阻害されていた。カビの発育面積が視覚的に判りやすい濾紙については、画像処理により二値化し、試験区および対照区におけるカビ発育面積を計測した。7日目では、対照区のカビ面積に対し、試験区のカビ面積は96.6%に抑制されていた。
2-MPO製剤を空間散布し、物質表面に付着させることで、物質上における真菌の発育を抑制する効果があることが確認された。
環境科学研究室では、「ダニ」「カビ」「微小昆虫類」「抗菌性評価」など
室内環境の有害生物の研究・調査に対応いたします。
- 室内環境中で健康被害を及ぼすダニ・微小昆虫類・カビなどの研究
- 喘息やアトピー性皮膚炎などのアレルゲンとなる生物の研究
- 大学や国公立の研究機関との共同研究
- 空気清浄機の除菌性能評価、抗菌素材の性能評価などの商品実用試験
- 異物混入検査