エフシージー総合研究所・フジテレビ商品研究所

2013年研究発表

室内環境学会学術大会

トラックコンテナの微生物汚染調査および殺菌対策に関する研究
Microorganism pollution investigation of track container and research on sterilization measures
日時・場所:2013年12月5日〜6日 アルカスSASEBO
発表者:橋本 一浩1),川上 裕司1),小田 尚幸1)2),石田 智洋3),関 秀行3)
1)(株)エフシージー総合研究所 IPM研究室,2)日本大学生物資源科学部 応用昆虫学研究室,3)
(株)ピュアソン 品質管理部

Abstract: We have investigated the status of microbial contamination of the container of truck. As a result of having isolated from wall, ceiling and floor in the container, microorganism attached a lot to the floor, and door had them especially in the wall. There were few numbers that attached to ceiling. The large majority of isolated fungi was yeasts, and hygrophilous fungi such as Cladosporiun,Aureobasidium,Phoma and Alternaria were also isolated frequently. It was revealed that the inside of the container was polluted by these microbes.

長崎県佐世保市で12月5、6日に開催された「室内環境学会学術大会」で、①「東京郊外の住宅地と隣接する農地および住宅造成地におけるAspergillus fumigatusの分布調査」「トラックコンテナの微生物汚染調査および殺菌対策に関する研究」という演題で発表しました。
キーワード:トラックコンテナ,微生物汚染,殺菌対策

1.緒言

 微生物は室内環境における視覚的・衛生的な汚染と深く関わっており,除去すべき対象として一般の方々の関心も高い。故に様々な抗菌・除菌を謳う商品が開発・供給され,住環境中の微生物に関する研究も数多く成されてきた。
 今回,我々は輸送トラックのコンテナ内における微生物汚染に焦点を当てた。通常,コンテナには土足のまま入り,また,定期的な殺菌処理も基本的に行っていないため、容易に微生物が侵入・汚染している状況が考えられる。特に、冷蔵車内では結露に伴いカビが発生する事例も数多く存在する。トラック輸送は食品流通の要であり,そのコンテナ内は衛生的な状態に保たれていることが望ましい。
 コンテナ内の微生物汚染に関する報告は皆無であり,その汚染実態は不明な部分が多い。そこで,我々はトラックコンテナ内における細菌・真菌(糸状菌および酵母)の汚染状況を調査し,汚染対策の方法を検討した。
 

トラックコンテナ内における細菌・真菌(糸状菌および酵母)の汚染状況を調査

2.方法

 2013年6月〜10月の間に,主に関東地方で輸送を行っているトラックコンテナを対象として、壁や床などに付着している微生物を分離し,付着数や種類を調べた。検査箇所にコドラート(10cm×10cmの穴が開いた樹脂板)を当てて微生物拭き取り検査用器具「ふきふきチェックⅡ(栄研化学製)」を用いて,正確に100cm2を拭き取ることで細菌・真菌を採取した。サンプリング箇所はコンテナ1台につき、四方の壁面4箇所・天井1箇所・床1箇所の計6箇所とした。
 分離培地は細菌用として普通寒天培地を、真菌用としてPDA培地・DG18培地を用いた。

3.結果および考察

  コンテナの壁や床から分離された細菌およびカビの数を図1および図2にまとめた。
 床は菌数が多い傾向にあったが,これは人が土足でコンテナ内に入ることや、落下菌が床に溜まることが原因であると考えられる。対して天井は菌数が少なく,全く分離されない検査箇所も多かった。壁面では入り口であるドアの表面に付着する菌数が多かった。
 菌数は車両によってばらつきが大きかったが,壁面100cm2あたり数万〜数十万cfuの細菌・真菌が検出された食品コンテナも複数存在した。

図1図2 コンテナ内の各箇所に付着していた細菌数・カビ数

 20台における主なカビの菌叢を表1に示す。分離カビは酵母の仲間が多く,全てのコンテナで分離され(分離率100%),分離菌数も平均8.7×104 (cfu/100cm2)と最も多かった。糸状菌ではCladosporiun spp.,Aureobasidium spp.,Phoma spp.,Alternaria spp.など湿性のカビがよく分離される傾向にあった。

表1 20台のトラックコンテナ内に付着していた主なカビ

 コンテナ内の温度は夏場には50℃に達する場合があるが,水分の少ない環境下で高温が続いた場合,微生物の多くが死滅する可能性がある。これを裏付けるかのように,雨天が続いた直後に検査をしたコンテナは菌数が増加する傾向にあった。
 今回は夏季の調査が中心であったが,コンテナ内の温度が低下する季節では,菌数および菌叢が大きく変動する可能性がある。

4.殺菌対策

 調査を実施した20台のうち半数は食品を運送するコンテナであるが,これらが実際に微生物に汚染されている様子が明らかになってきた。多くの輸送トラックはほぼ毎日,営業しているため,定期的な清掃や殺菌処理を施すことは事実上,難しい。そこで,演者らはこうしたコンテナ内の微生物への対処を目的として,抗菌作用の持続する微生物不活性化基剤である2-メルカプトピリジン-N-オキシドナトリウム(2-Pyridinethiol-1-oxide sodium salt)を含有する複合殺菌剤の利用を検討し,現在,試験を行っている。今大会では,これらの試験結果についてもご紹介したい。

環境科学研究室では、「ダニ」「カビ」「微小昆虫類」「抗菌性評価」など
室内環境の有害生物の研究・調査に対応いたします。

【室内環境生物分野の試験および研究】
  • 室内環境中で健康被害を及ぼすダニ・微小昆虫類・カビなどの研究
  • 喘息やアトピー性皮膚炎などのアレルゲンとなる生物の研究
  • 大学や国公立の研究機関との共同研究
  • 空気清浄機の除菌性能評価、抗菌素材の性能評価などの商品実用試験
  • 異物混入検査

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