エフシージー総合研究所・フジテレビ商品研究所

2013年研究発表

日本家屋害虫学会第34回大会

住宅内におけるチャタテムシ・ダニ・カビなどアレルゲン原因生物の分布調査
Distribution investigation in residences of allergenic organism such as booklices, housedust mites and fungi
日時と場所: 2013年6月22日〜23日 日本大学生物資源科学部
発表演題と発表者: 住宅内におけるチャタテムシ・ダニ・カビなどアレルゲン原因生物の分布調査
川上 裕司1),橋本 一浩1),福冨 友馬2),谷口 正実2)
齋藤 明美,中島 麻諭子1),秋山 一男2)
1)(株)エフシージー総合研究所 IPM研究室,2)国立医薬品食品衛生研究所

1.緒言

 最近,演者らは室内害虫として知られているヒラタチャタテLiposcelis bostrichophilaが喘息患者の新たな吸入性アレルゲンであることを明らかに報告した*)。昨夏,一般住宅20軒を対象に,ヒラタチャタテ等の生物アレルゲンの分布調査を行い,住環境中の分布状況を明らかにした。

2.方法

 調査対象は,① コナチャタテ科に属するチャタテムシ類等の昆虫類,②室内塵性ダニ類,③浮遊真菌とした。
 対象住宅は東京都内所在の一般住宅20軒(集合住宅10軒,戸建住宅10軒)とし,各住宅のリビングダイニングと寝室で調査を行った。調査は2011年7月〜8月に1回目を実施し,同年10月に2回目を実施した。

2−1.チャタテムシ・ダニの調査法
 サイクロン式電気掃除機(DC26;dyson)を用いて,各部屋で5分間集塵した。塵埃は電動ふるいにかけ,ふるい分けした塵埃をそれぞれダーリング液遠心浮遊法によって上澄液をろ紙上に展開した。ろ紙上に展開されたチャタテムシやダニ類を実体顕微鏡下で計数し,同定した。

2−2.浮遊真菌の捕集方法
 エアーサンプラー(SAS SUPER 100)にDG18寒天平板培地を取り付け,それぞれの測定地点で50Lの空気を吸引することにより浮遊真菌を捕集した。サンプリングは住宅1軒につき,リビングダイニング4地点,寝室4地点,屋外1地点とした。
 DG18平板培地は実験室へ持ち帰り,25℃で7〜10日培養した。培地に発生した真菌集落を計数し,CFU/m3 の浮遊真菌数を算出した。
 発生した集落をMEA培地,CYA培地などにて二次培養を行い,集落の形態,光学顕微鏡による形態観察から種または属を同定した。

3.結果および考察

 チャタテムシは20軒全てで見つかり,都内の一般住宅の室内に極めて普通に生息していることが証明された。分離されたチャタテムシは大半がヒラタチャタテであった。
 住居内に生息するヒョウヒダニは,コナヒョウヒダニDermatophagoides farinae,ヤケヒョウヒダニD. pteronyssinusに大別され,いずれも重要なアレルゲンである。チャタテムシ同様全ての住宅から分離された。また,塵埃中からは様々な昆虫類の破片が分離された。この結果からハウスダスト中に含まれる昆虫アレルゲンの存在が顕著であることが明らかになった。
 浮遊真菌は絨毯や畳の塵埃に広く分布することが知られるAspergillus section Restrictiが高頻度に分離された。今回10,000 CFU/m3を超えた3軒の住宅における真菌相は大半がsection Restrictiに属するA. conicusであった。20軒におけるsection Restrictiの平均の平均濃度は800 CFU/m3以上で,Cladosporium属の平均濃度260 CFU/m3を超えていた。今後も調査を継続して,アレルギー疾患とアレルゲンとなる生物の分布との関連性を調べていく予定である。

*)*Y. Fukutomi et al. (2012) Allergenicity and Cross-Reactivity of Booklice (Liposcelis bostrichophila):
A Common Household Insect Pest in Japan, Int Arch Allergy Immunol, 157, 339-348.

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