エフシージー総合研究所・フジテレビ商品研究所

2009年研究発表

日本家屋害虫学会第30回記念大会

日時と場所: 2009年2月27日〜28日 日本大学生物資源科学部
発表演題と発表者: タバコシバンムシから分離された Aspergillus 属のカビ毒産生能
橋本 一浩1), 2),川上 裕司1),内田 明彦2),髙橋 治男3) ,陰地 義樹4)
1)(株)エフシージー総合研究所IPM研究室,2) 麻布大学大学院環境保健学部,
3)千葉県衛生研究所真菌室,4)奈良県保健環境研究センター

要旨

演者らは,タバコシバンムシが人の住環境に極めて普通に生息していること,本種の体表面から病原性微生物を分離されることを明らかにし,さらには本種から分離された Aspergillus ochraceus が食品分離株に比べ高い確率でカビ毒産生能を有すると報告した(川上・中野,1996,1997;川上・加瀬,1998;川上ら,2002,2004)。本大会では,2006年〜2008年にかけて捕獲した個体から得られたAspergillus属のカビ毒産生量を分析した結果について報告する。

2006年〜2008年,各年度の6月から10月にかけて,東京・神奈川・埼玉所在の一般住宅9軒,小学校1校,児童公園5ヶ所,病院外部1ヶ所の合計16ヶ所でタバコシバンムシの捕獲を行った。捕獲した個体をリン酸緩衝生理食塩水で洗浄し,洗浄液をPDA培地に塗沫した。分離された Aspergillus 属は光学顕微鏡を用いて詳細に観察し,A. ochraceus,A. flavus と同定された場合はカビ毒産生能について分析を行った。分析方法は市販の米麦粒5gを50ml容の三角フラスコに入れ,水4mlと1%ペプトン水1mlを加えて3時間吸水させた後,高圧蒸気滅菌を行った。これにカビを接種し,25℃で7日間培養した。次に,培養試料物に酢酸エチル20mlを加えて3時間静置後,濾過して酢酸エチル抽出液を得た。この抽出液を濃縮乾固した後,抽出物にエタノール1000µlを加えて加温溶解,ここから200µlをとり,20%メタノールで3mlにし,0.45µPTFEメンブランフィルターでろ過して試験液とした。この試験液10µlをLC/MS/MSに注入してオクラトキシンAを測定した。

結果,A. ochraceus は32株中28株(87.5%)からカビ毒オクラトキシンAが検出された。さらに、そのうち6株は食品分離株では考えられないほどの強毒を産生することが明らかになった。A. flavus に関しては7株を分析したが,カビ毒アフラトキシンを産生する株は確認されなかった。

今回の調査で分離された A. ochraceus の強毒株2株と A. flavus 1株は小学校の給食室横の物置部屋で捕獲されたタバコシバンムシが保持していた。衛生に関わる施設に隣接する部屋から,このような個体が捕獲されたことは注目すべき結果といえる。A. flavus は検体が少ないため、今後、検査数を増やすことでアフラトキシン産生株が確認されることが予想される。

環境科学研究室では、「ダニ」「カビ」「微小昆虫類」「抗菌性評価」など
室内環境の有害生物の研究・調査に対応いたします。

【室内環境生物分野の試験および研究】
  • 室内環境中で健康被害を及ぼすダニ・微小昆虫類・カビなどの研究
  • 喘息やアトピー性皮膚炎などのアレルゲンとなる生物の研究
  • 大学や国公立の研究機関との共同研究
  • 空気清浄機の除菌性能評価、抗菌素材の性能評価などの商品実用試験
  • 異物混入検査

▲PageTop