2008年研究発表
文化財保存修復学会 第30回記念大会
日時と場所: | 2008年5月16日〜18日 太宰府市中央公民館・九州国立博物館 |
発表演題と発表者: | 美術館におけるカビ汚染の実態調査 川上 裕司1),2)・橋本 一浩1) 1)(株)エフシージー総合研究所 IPM研究室・2)ランビエンテ保存修復学院 |
要旨
現在,美術館や博物館の有害生物防除の主流になりつつあるのが,IPMである。演者は,IPMの観点から美術館における害虫やカビの調査を行っている。本大会では静岡県内の美術館におけるカビ発生の実態調査の結果について報告する。
- <調査期間>
- 2007年2月,7月,11月の3回調査を実施。
- <調査場所>
- 展示室,展示室など6箇所。
- <調査法>
- ①エアーサンプラーによる浮遊真菌の測定,②滅菌スタンプ瓶による付着真菌の測定,③自動記録式温湿度計による温湿度の測定[調査結果]①浮遊真菌濃度は50〜800CFU/m3と測定月ごとに幅があった。②展示室は7月に浮遊真菌濃度が増加したが,収蔵庫では各月ともほぼ一定濃度であった。③収蔵庫の吸排気ダクトがカビの汚染源となっていた。④浮遊・付着ともにAspergillus, Cladosporium, Penicillium が60〜65%を占めた。⑤展示室・収蔵庫ともに,温度・湿度が一定に保たれておらず,これがカビ発生の一因であった。⑥特に,A. versicolor, A. penicillioides が絵画汚染カビであった。
環境科学研究室では、「ダニ」「カビ」「微小昆虫類」「抗菌性評価」など
室内環境の有害生物の研究・調査に対応いたします。
- 室内環境中で健康被害を及ぼすダニ・微小昆虫類・カビなどの研究
- 喘息やアトピー性皮膚炎などのアレルゲンとなる生物の研究
- 大学や国公立の研究機関との共同研究
- 空気清浄機の除菌性能評価、抗菌素材の性能評価などの商品実用試験
- 異物混入検査