vol.50 簡単にできる昆虫標本の作り方

 夏休みもそろそろ中盤です。小学生、中学生にとっては、自由研究の課題探しも悩むところですね。そこで、採集した後、死んでしまった昆虫の標本作りはいかがでしょうか。生きた昆虫を飼育しながら観察することが一番大切ですが、死んでしまったら直ぐに土に埋めてしまうのはもったいないと思います。

簡単にできる昆虫標本の作り方

 昆虫を標本にして、体の造りを良く観察することもとても勉強になります。  そこで、本稿では、市販されている高価な標本制作用具を買わなくても、身近な物を使っての作り方をアドバイスします。

 ここでは、カブトムシ、クワガタ、カミキリムシ、コガネムシなど昆虫の代表的なグループである「甲虫」を想定した昆虫標本の作製法について述べます。


1.用意するもの

【必ず必要なもの】

 (1)まち針(ステンレス製昆虫針の代用)
 (2)ステンレス製の縫い針(ステンレス製昆虫針の代用)
 (3)ピンセット(100円ショップで売られているなるべく先の尖ったもの)
 (4)紙製の菓子折り箱または樹脂製タッパーウエア(桐製や高級木材製の標本箱の代用)
 (5)発泡スチロールの板(電化製品や食品の梱包材)
 (6)衣料用防虫剤(パラゾールまたはピレスロイド系)
 (7)古新聞紙
 (8)樹脂製の器(縦横15㎝前後であればどんなものでも良い)

【有れば便利で有効なもの】

 (1)絵画用の筆もしくは柔らかめの歯ブラシ
 (2)消毒用エタノール
 (3)キッチンペーパーまたはティッシュペーパー
 (4)割りばし
 (5)竹串
 (6)木工用ボンド

2.制作の手順

2-1.昆虫を洗う

(1)まず器に40℃前後のぬるま湯をはって、昆虫を入れて5〜10分ほど置いて、軟化させます。昆虫が死んで間もなく、まだ柔らかいうちであれば必要ありません。また、死んでから1週間以上経過して固化・乾燥が進んでいるような場合には、15分〜30分くらいぬるま湯に浸けます。

(2)次に、軟化した昆虫を軽く流水で洗います。口器の周辺や腹部側などの汚れが目立つ場合には、絵画用の筆または柔らか目の歯ブラシを使って、新しいぬるま湯に浸けながらていねいに汚れを落としてください。 消毒用エタノールが用意できれば、洗浄後に全体に噴霧すると付着している微生物を殺菌できます(必ず行う必要はない)。


2-2.形を整える

(1)テーブルに古新聞紙を敷き、その上にキッチンペーパーかティッシュペーパーを乗せてから昆虫を置いて、体の表面についている水分を完全に吸い取ります。この時、割りばしや竹串の先にペーパーを巻き付けてていねいに水分を吸収すると良いでしょう。ただし、昆虫の脚(特に爪)などを壊さないように注意しましょう。

(2)昆虫が六本脚で静止した場合の自然な位置(左右対称)を意識しながら、ピンセットを使って、頭部、胸部、腹部、そして、胸部から出ている六本の脚を広げながら整えます。

(3)もしもこの時に、脚などが取れてしまったら、慌てずに、木工用ボンドで修復してください。


2-3.展足(てんそく)※する

(1)昆虫の体を大体整えたら、発砲スチロールの板に昆虫を乗せてピンセットを使って、最終的な位置決めをします。

(2)腹部の右側前翅(はね)の上側、やや中央寄りの位置にステンレス製の縫い針をまっすぐ下に突き出るまで刺します。そして、発砲スチロールの板に体を固定します。

(3)まち針を使って、頭部の角度、触覚の位置、脚の位置を固定します。

※展足とは、昆虫標本を作る上で一番大事な作業。ピンで体と脚を固定すること。

(4)タンスの上など、静置できて、直射日光が当たらない場所に展足した標本を置いて十分乾燥させます。乾燥させる期間は、カブトムシやクワガタで3〜4週間くらいが目安です。まち針を使って、頭部の角度、触覚の位置、脚の位置を固定します。


昆虫の体を整え展足(てんそく)する

2-4.ラベルを付けて収納する

(1)十分に乾燥したら、脚や触覚を固定していたまち針を静かに外します。この時、安易に外すと、乾燥した微細な爪や触覚が壊れることになりますので、十分注意してください。

(2)事前に用意したラベル※を縫い針に刺して固定します。

※ラベルは昆虫の大きさに合わせてサイズが変わりますが、概ね、縦15mm×横30mmくらいです。ラベルの記載事項例は以下の通りです。


     採 集 日 2014年8月1日
     採取場所 山梨県韮崎市甘利山
     採 集 者 虫山 好太郎
     昆 虫 名 オオクワガタ(Dorcus hopei binodulosus)♂

(3)標本箱とした菓子箱や樹脂製タッパーウエアに適当な厚さの発泡スチロール板を固定し、作製した昆虫標本を整列して並べます。

(4)箱の下隅に、必ず防虫剤をまち針で固定して入れます。



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(2014.8.18)

IPM研究室