
(117) トースター
いろいろなトースター、自分の好みで選ぶ
トースターは忙しい朝やちょっとした焼き物料理に手軽に使え、特にパン食の人には必須の家電製品です。最近では、マイコンを搭載し、スイッチひとつで様々な加熱調理ができ、焼き色の濃さまで調節できる製品のほか、上下異なる種類のヒーターを組み合わせたり、庫内に蒸気を発生させたりできるなどの工夫を凝らした製品が売られています。トーストの焼きムラと水分蒸発率、表面の固さに違いがあるのか比べてみました。
テスト品は、石英管ヒーター(A)、異なる種類のヒーター組み合わせ(B、C)、蒸気発生(D)の4種類(表参照)を選びました。B、C、Dはマイクロコンピューター制御で庫内の温度を自動でコントロールします。

6枚切りの食パン1枚を焼き色が同程度になる加熱時間でそれぞれトーストし、試験品としました。焼きムラはトーストの画像を解析して標準偏差を算出、この値が少ないほど焼きムラが少ないことになり、Aが最も焼きムラが少ないという結果となりました。庫内が狭いため均一に温まりやすく、またヒーターとパンの距離が近いためムラが出にくかったと思われます。
次にトースト前後の重量から水分蒸発率を算出しました。D▷A、B▷Cの順に水分が蒸発しにくいという結果でした。Dは、蒸気によって水分が維持できたと考えられます。Cは上下の赤外線ヒーターが、パンを芯から温めることで水分が多く蒸発したものと思われます。
表面の固さは、歯で噛むことを想定し、引張試験機に三角形の切断刃(プラスチック製)を取り付け、トーストの中央を圧縮方向に押し、荷重(N:ニュートン)を測定したところ、表面が固い順にA▷B▷C▷Dという結果となりました。Aは庫内容積が狭く、ヒーター距離が近いことから、しっかり焼けるために表面が固くなり、Dは蒸気で表面に水分を保つことで固くなりすぎなかったと思われます。
庫内が狭く、ヒーターと食材の距離が近いほどムラなくしっかりと焼くことができます。 赤外線ヒーターは芯から温めることができる半面、水分が抜けてしまうことも。蒸気が出るタイプはしっとりとしたトーストがお好みの方におすすめです。自分の好みのトーストにあったトースターを選ぶとよいでしょう。
(2016.03.25)
【関連情報】
商品研究レポート「トースター」
タイプの異なるトースター4機種の性能について、焼きムラ、歯ごたえ、しっとり感など食パンの焼き上がり具合で比較してみました。
