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ACRO
ミドルエイジ向けスキンケアブランド
「ITORIM(イトリン)」
2018.10.27
最新記事国産の和漢植物エキスで全身リラックス
いつまでもはつらつと美しくありたいと思うのは、人類普遍の願いかもしれない。今回の「これは優れモノ」は、年齢を重ねた女性に特化したスキンケア商品を取材した。
先人の知恵が詰まった効用
「世界に通用するプレミアム オーガニック スキンケア ブランドだと自負しています」と語るのは、ACRO(アクロ)取締役会長の石橋寧(やすし)さん(67)。
同社はポーラ・オルビスグループ傘下で、これからのグローバル戦略を担うブランドを育成している中核会社だ。
石橋さんは40年以上にわたって化粧品ビジネスに携わり、カネボウ勤務の後、RMKやSUQQU(スック)など大人気のコスメ・ブランドを立ち上げてきた。ACRO設立翌年の2009年には、先進的なメイクと天然原料にこだわったスキンケアを提唱する「THREE(スリー)」を発表、グローバルブランドとして国内外で高い評価を得ている。
自然由来の成分で作られたオーガニック化粧品は、古代エジプト時代から利用されていたといわれている。オリーブやハーブなど植物から抽出した油分などを使って、乾燥や紫外線によるダメージから肌を守るために使われていた。
日本でも、江戸期に糠を使って洗顔し、肌のきめを整えたり、いばらの花を蒸してそのエキスを含んだ水を化粧水として使っていたとする文献もある。
「化学合成の技術がなかった時代は、食物にもなる身近なものでスキンケアを行っていたのです」と石橋さんは、先人の知恵が詰まったオーガニックスキンケアの効用とその可能性を説明する。
夕張メロンの種子なども
商品開発では、自然由来の成分を主原料とするため、まずは、どんな植物から有用なエキスが採れるかを探すことから始まる。同社では、原料メーカーのほか、京都薬科大学の植物学の権威と協働で、これまで使われることのなかった植物から有用な成分の抽出に成功、製品化を図ってきた。2009年に発売したTHREEは、国内産を中心に厳選された天然原料の処方化技術で誕生した。
このときの知見を生かして、9月から発売したのが、「ITRIM(イトリン)」。ミドルエイジの女性を対象にしたスキンケアに特化したブランドだ。ネーミングは、”とても”を意味する古語の「いと」と品格を表す「凛」を組み合わせたもの。
「本当に希少な国産の植物や日本の名水を贅沢に使いました」と石橋さん 。原材料には、消炎、解毒などの効能があると言われている紫紺など古くから日本人が美容と健康のために活用してきた和漢植物エキスをふんだんに配合した。
このほか、美肌成分を含み、肌の水分・油分のバランス調整作用、肌を整えることが確認されている夕張メロンの種子からとった植物油や立山の名水を使うなど、国内産原料にこだわった。
スキンクリーム、スキンローションからシャンプー、ボディーエマルジョンまで全12種類をラインナップし、全身のケアに対応している。パッケージデザインも女性を意識した官能的で心身がリラックスする楕円を基調にしている。
取締役会長 石橋 寧氏
人生の第2章を美しく過ごしてもらいたい
ミドルエイジの女性向けとのことだが
この年齢は、子育てが終わってホッとする時期だ。会社勤めをしているのであれば、管理職として人前に出ることも多くなる。一方で、肌の悩み事も増えてくる年齢だ。肌をもう年代に合ったお手入れで、これからの人生の第二章とも言うべき期間を美しく過ごしてもらうことを願って開発した。世界に通用するプレミアム オ-ガニック スキンケア商品だと自負している。
ITRIMのブランド・ポジショニングは?
ITRIMは大人の女性をターゲットとしているスキンケアに特化したブランド。10年目を迎える「THREE」は、ターゲットの年齢層も幅広くベビーやメンズ向けも出しており、ライフスタイル全般をカバーするようなブランドという位置づけ。一方、ITRIMと同時期にローンチしたブランド「Amplitude(アンプリチュード)」は大人の女性をターゲットとしているメイクアップブランドとなるACROとしてブランドは増えたが、それぞれ棲み分けは出来ると考えている。
開発で注力したことは
オーガニックというと効果の実感がなかなか得にくい印象を持つ人も多い。今回の開発では、わかりやすい使用実感が出るような工夫をした。具体的には肌内部のメラニン量、血液、皮下組織の状態に着目し、美しい肌印象が持てる処方を行った。また、12種類すべての商品に、希少で高価な精油であるメリッサを用いることで、メリッサの香りは、心身をリラックスさせる効用もある。
今後の展開は
原料メーカーからのデータのみならず、最終製品でのモニターテストなどを繰り返した。品質には絶対の自信をもっている。日本のみならず、海外での展開も具体的に検討しており、アジア市場、さらには地域に合わせて製品処方を変えて欧米市場への進出も視野に入れている。国内百貨店での販売スタイルも、旅客機のファーストクラスをイメージして、一人一人のお客様に個別にサーブできるようスペースにも工夫を施した。