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ファンケル化粧品
男性用スキンケア「ファンケル メン」
2016.9.24
最新記事関心高まるアンチエイジングをアシスト
いつまでも若々しくありたいと願う女性にとって、アンチエイジングはマジック・ワードだ。加齢による身体機能の低下を抑えることだが、最近は男性も関心を持ちつつある。今回の「これは優れモノ」は、アンチエイジングのための男性用スキンケア商品を取材した。
身だしなみの一つ
「男性の、男性による、男性のためのスキンケア商品です」とにこやかに話すのは、ファンケル化粧品商品企画部の佐々木秀明さん(34)。無添加化粧品の代名詞となっている同社製品は、女性を主な顧客ターゲットにしてきた。そのため女性の研究員やマーケティング担当者の比率が高い。しかし、2月に発売した男性用スキンケア商品については、30代の男性たちが中心となって、商品開発、マーケティングにあたっている。
同社では1999年から男性用スキンケア商品を販売してきたが、男性ニーズの変化から、商品の開発からマーケティングまですべてをリニューアルして展開することとした。
「かつてのスキンケア商品は、おしゃれに敏感な一部の男性だけのものでした。しかし、いまや身だしなみの一つとして考える男性が増えています」と佐々木さんは、商品開発の背景を説明する。
男性の肌は、毎日のひげそりや紫外線へのケア不足でダメージを受けているので、女性以上に敏感になっているという。むしろ男性の方が積極的にスキンケアを行うべきだというのだ。
ファンケル化粧品が1万人の男性を対象に行った調査でも、約5割が洗顔料を使用し、約2割が化粧水も使っていると回答している。
3つの機能を一つに
一方で、女性のように化粧水、乳液、美容液を順に塗るようなスキンケアを毎日続けるのは面倒という声も多く得られた。そこで、新たに開発したのが、これら3つの機能が1つになったスキンケアジェル「オールインワン スキンコンディショナー」だ。この1本で、ひげそり後の肌のヒリつきを抑え、肌を整える効果があるという。
スキンケアに洗顔は欠かせない。顔の皮脂量は、男性は女性の2~2.5倍あるといわれている。皮脂をとろうとして石鹸などでごしごし洗う男性も多い。「皮脂をとりすぎると、肌が自己防衛のためさらに皮脂を出すので、油の負のスパイラルに陥ってしまうのです」と佐々木さんは、洗顔での注意点を指摘。
そこで、不要な皮脂や汚れだけを取り除き、潤いは残す機能を持つ洗顔料「ファンケル メン フェイス ウォッシュ」も開発した。この洗顔料には、嫌なにおいの原因となる皮脂を抑える成分が入っているという。
「若いときからのスキンケアが肝心ですから、今回の商品では30代を主なターゲットにしています。当然これらの商品も無添加です」と佐々木さんは強調した。通信販売と直営店舗で販売しているが、売れ行きは好調だという。
洗顔料には120種類の処方を試作
男性化粧品を新たに発売した理由は
女性化粧品の市場が横ばいなのに対して、男性化粧品は拡大している。男性も近年、身だしなみについての意識が高まっている。身体的な機能だけでなく、見た目の若々しさを求める40代以降の男性が増えていると考えている。
主な販売対象は
30代を主なターゲットにしている。この年齢層から掘り起しして、40代以降の年齢層にも浸透させていきたいと考えている。男性のスキンケアのタイミングは、女性を意識しはじめて、にきびを気にするようになる15歳ぐらいに最初のピークを迎える。そして、40代になるとシミやしわ、たるみを気にするようになる。われわれのシミュレーションによれば、30代ぐらいから、スキンケアに気を配れば、40代、50代以降に差が出てくるという結果が出ている。マーケティング活動を通じて、早めのスキンケアの重要性を訴えていきたい。
開発で困難だった点などは
洗顔はスキンケアの基本だ。石鹸などを使うと脱脂力が高いうえに、泡だてずに洗顔をすると肌を傷めてしまう。結果として肌が乾燥して、年を経てしわやたるみにつながってしまう。 だから洗顔料は、きめ細かい泡で、肌に吸い付くようなものでないといけない。ワンプッシュでそういう泡を出すために、処方の改良には時間をかけた。容器のメッシュを通過することで泡になって出るのだが、きめ細かな泡を作ろうとすると、メッシュ上に泡が残り固まってしまい、目詰まりしてしまうこともある。固まらずに良い泡ができるように120種類ほどの処方を試作した。
次の開発目標は
シャンプー、ヘアケア商品なども検討したい。薄毛を気にする男性が多く、これをケアする商品なども視野に入れている。男性の頭皮は紫外線をはじめ皮脂や汗で負担がかかっている状態のため、そのような環境に対応する商品を開発したい。
海外の販売については
アジアでは、中国本土のほか、韓国、香港、台湾など、海外のバイヤーからも数多くのひきあいがある。一方で、この商品は化粧品というカテゴリーにある。普通の繊維製品、雑品とは違うので各国のレギュレーションに従う必要がある。国内での販売状況を見ながら、海外での展開も視野に入れていきたい。