【研究所コラム】知っておくと怖くない!暮らしの中の悪玉生物たち
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Vol.22 【イエヒメアリ】先進国の大都市で際立つ被害
 
イエヒメアリ

 3月6日は「啓蟄」。"啓"は「開く」、"蟄"は「土の中で冬ごもりしている虫」の意味です。つまり、地中で冬ごもりしていた虫たちが春の訪れを感じて地上へ這い出してくる時期を表しています。庭や公園の地面を見ると、アリたちが巣穴から土を掘り出して、盛土している姿に出会うことでしょう。春を感じさせる長閑なアリばかりでなく、"ありがたくない"アリの活動も活発化してくる時期でもあります。

 イエヒメアリMonomorium pharaonis は体長約2ミリの小形のアリ。全体に淡黄褐色で,腹部の後半は黒褐色をしています=写真。熱帯アジアまたは熱帯アフリカが原産といわれていますが、物流とともに自然環境下では生息できない温冷帯にまで世界規模で分布を広げています。現在では北半球の先進国の大都市で被害が際立っています。

 日本には昭和初期に侵入したようで、現在では都市部を中心に太平洋岸の各地に分布しています。特に、集合住宅、デパート、病院、食料品店、動物園などに多く生息し、マンションの壁内、押入れ、フローリングの隙間などに営巣した場合には、就寝中に本種による刺咬害を受けることがあります。本種は雑食性で、砂糖、菓子、パン、乾燥果実、バター、肉類などの食品を加害し、衣類に穴を開けることもあります。
 

食品を加害し、衣類に穴を開けることも・・・!

 東京の7階建て複合住宅で、1階の食料品店で発生した個体群が、好適環境を背景にして、3年間で全戸に発生が広がった事例が知られています。地球の温暖化に伴い、今後ますます本種の分布が拡大する恐れがあります。


エフシージー総合研究所 環境科学研究室
 川上裕司

 
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