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商品検査あれこれ
第4回:空気清浄機の集じん機能について

1.集じん性能試験の疑似汚れはたばこ5本に含まれる成分で再現
2.HEPAフィルターの性能は「0.3mの粒子を99.7%捕集可能」と定義されている
3.集じんフィルターの性能はプレフィルターの掃除がカギ


 生活科学研究室は暮らしに関わるモノを対象に商品検査を行っています。業務はより良い製品へのサポートを目的に、品質や表示などを法令や業界規格で確認しています。検査の対象は食品、化粧品、電化製品など多岐にわたります。本コラムでは検査業務を紹介し、検査をご検討されている方や今回ご紹介している空気清浄機の仕組みや性能について知りたい方のご参考にしていただけたらと思います。


【空気清浄機の試験について】

 Vol.1から数回にわたりご紹介している空気清浄機は通年を通して依頼件数が多く、近年では健康・快適志向から需要が高まり、検査依頼も増加傾向にあります。当研究室では、脱臭性能、集じん性能、PM2.5除去性能、の3種の性能試験を実施しています。今回は、集じん機能に注目して、「集じんとは」「空気清浄機の集じんの仕組みと性能試験」についてご紹介します。

 「集じん」とは「集塵」と書く通り、空気中の塵(チリ)を集めることで、空気清浄機の代表的な集じん方式はファン方式、電気方式、イオン方式の3つです。いずれも長所、短所がありますが、ファン方式は短時間で清浄でき、広い部屋に適しているので、メーカーの殆どはファン方式を採用しています。


【ファン方式の空気清浄機の集じん機能について】

 ファン方式はファンで空気を吸入し、機器に内蔵されているフィルターに汚れ物質を吸着し、きれいな空気を排出する仕組みです。集じんフィルターはプレフィルターの次に位置し、プレフィルターで取りきれなかった塵をとります。塵の種類は花粉、ダニの糞などですが集じん効率(粒子捕集効率)はフィルターの種類ごとに異なります。集塵フィルターの中でも人気が高く、高性能なものはHEPA( High Efficiency Particulate Air)フィルターです。HEPAフィルターはJIS規格(JIS Z 8122)によって「定格流量で粒径が0.3mの粒子に対して99.97%以上の粒子捕集率を持ち、かつ初期圧力損失が245Pa以下の性能を持つエアフィルター」と規定されています。

 「99.97%以上の捕集率」を簡単に説明すると、0.3mの汚れ粒子1万個のうちフィルターを通過できるのは3個のみ、ということを意味しています。花粉やダニの死骸は1~30m、PM2.5は2.5m以下の微粒子なので、HEPAフィルターがいかに高性能であるかが分かります。

図:「99.97%以上の捕集率」を簡単に説明すると...

 空気清浄機の集じん性能は業界規格である日本電機工業会の「家庭用空気清浄機」JEM1467に定められており、集じんとPM2.5除去(2013年に新たに制定)の2種試験から評価します。集じんの対象は空気汚染物質のうち、固体の粒子状汚染物質(非生物粒子のみ)とされ、一日分の空気の汚れのモデルとして「たばこ5本分の煙に含まれている粒子成分とガス成分」と定義しています。

 集じん試験方法は20~32m3の密閉された部屋でたばこ5本を燃焼させ、空気清浄機運転後の粉じん濃度が初期濃度の3分の1になる時間を基に集じん性能を算出します。この試験結果は実使用空間での結果ではないので、開放空間、使用頻度などのフィルター汚れ、たばこ成分に含まれていないハウスダスト(埃、カビなど)は考慮されていません。

 特に集じんフィルターは目詰まりしやすく、水洗いができない場合があり、定期的な交換が必要です。フィルターの性能や耐久性はメーカーのホームページやカタログ等の「注釈」に記載されていることが多いので、気になる方は事前に確認されることをお薦めします。

 当研究室では集じん試験、耐久性試験など実績がありますのでお気軽にお問合せください。次回はもう一つの集じん性能である「PM2.5除去機能」についてご紹介します。お楽しみに。

[参考文献]
一般社団法人 日本電機工業会

(2020年6月18日)

生活科学研究室